27/Oct./2000 新設
13/Jan./2010 更新
旧暦を作ろう


     *** 目   次 ***
   1.旧暦って何?
   2.旧暦の作り方
   3.例外…新月と新月の間に中気が2回!?
   4.作例:2010年の旧暦



1.旧暦って何?



 今、旧暦がひそかなブームとなっていて、年末のカレンダー売り場には数種類 の旧暦カレンダーが並んでいるのを見るようになりました。むろん、それ以前か ら旧正月、旧盆などというように旧暦は私たちの生活に溶け込んでいますし、潮 汐と関係深い漁業関係者は旧暦を活用しているといいます。それ以外でも、旧正 月、旧七夕、中秋の名月(旧8月15日)など、旧暦は私たちの生活の中に溶け込ん でいます。
 1873(明治6)年、日本ではそれまで使われていた天保暦(太陰太陽暦法の一つ) から、太陽暦への改暦が行われました。太陰太陽暦は太陰暦の一種で、月の満ち 欠けで毎月の日付を決めます。したがって、太陽の動きだけを基準にした太陽暦 とはシステムが違うため、両者の日付は随分ズレます。そこで、太陽暦に移った 時に、月の満ち欠けや季節と密接に結びついていた生活サイクル・行事がうまく 対応しなくなり、生活上不都合が生じるので、かつて使われていた太陰太陽暦を 再現して「旧暦」としたのです。1873(明治6)年以降に発行された暦には「太陰 暦」という欄があり、旧暦の日付が併記されています。
 ただし天保暦がそのまま旧暦ではありません。毎月の一日の決め方や、閏月の 置き方といった基本的な約束事だけを天保暦に従っています。その一方、1朔望 月や1太陽年といった数値や、太陽・月の位置計算は古い天保暦には従わず、最 新の天文学によって決めています。従って、天保暦イコール旧暦ではなく、過去 に用いられた天保暦をまねて作ったカレンダーが旧暦ということになります。
 ちなみに、太陽暦に改暦した時点から正式な旧暦というものは存在しません。 国立天文台でも旧暦計算は一切行なっていません



目次へもどる

2.旧暦の作り方


 では、実際に旧暦を作ってみましょう。
 現在私たちが使っている太陽暦は、各月の日数が決まってますし、うるう年の 決め方がわかりやすいので、簡単にカレンダーを作る事ができます。しかし太陰 太陽暦は月の満ち欠けで日付を決め、太陽の天球上の位置で月を決めるので、太 陽暦ほど簡単にはいきません。

★用意するもの★

『理科年表』や『こよみハンドブック』など、新月や二十四節気の日付が載って いるデータブック。


★作り方★


1.日付をきめる
 太陰太陽暦では、新月を含む日を毎月1日としています。そこで、データブッ クで新月の日を調べて、書き出します。これで、毎月の日付を決めます。

2.月を割り振る  次は月の割り振りです。これは太陽の天球上の位置、つまり24節気を基準とし ます。下の表は24節気の一覧表ですが、それを見ると一つおきに「一月中気」、 「二月中気」…とあります。これが「各月の中気」と呼ばれるもので、この中気 が朔と朔の間にあれば、月名が決まります。例えば、ある朔と朔の間に冬至(11月 中気)があれば、その月は11月となるのです。
 しかし、月の朔望周期(平均約29.5日)は、中気と中気の間隔(平均約30.4日)よ りも短いため、中気を含まない(つまり月名を付ける事ができない)月が出てきま す。こういう月が「閏月」です。閏月の名称のつけ方は、例えば5月の後に閏月が 来る場合は「閏5月」というように、その前の月名に「閏」を付けます。
 これで、原則的には旧暦を作ることができます。現在のカレンダーなどに旧暦の 日付を書きこんで、対照できるようにすればわかりやすいでしょう。


24節気名称中気太陽黄経(度)
立春(りっしゅん) 315
雨水(うすい) 正月中気   330
啓蟄(けいちつ) 345
春分(しゅんぶん) 2月中気
清明(せいめい) 15
穀雨(こくう) 3月中気 30
立夏(りっか) 45
小満(しょうまん) 4月中気 60
芒種(ぼうしゅ) 75
夏至(げし) 5月中気 90
小暑(しょうしょ) 105
大暑(たいしょ) 6月中気 120
立秋(りっしゅう) 135
処暑(しょしょ) 7月中気 150
白露(はくろ) 165
秋分(しゅうぶん) 8月中気 180
寒露(かんろ) 195
霜降(そうこう) 9月中気 210
立冬(りっとう) 225
小雪(しょうせつ) 10月中気 240
大雪(たいせつ) 255
冬至(とうじ) 11月中気 270
小寒(しょうかん) 285
大寒(だいかん) 12月中気 300

表:二十四節気と各月の中気



目次へもどる

3.例外…新月と新月の間に中気が2回!?


1.例外とは
 というわけで、旧暦は上記の方法を使って割合簡単に作ることができます。
 しかし実際に作ってみると、何十年かに一度位は、一回の新月から新月まで (つまり旧暦1ヶ月)の間に中気が2回入り、月の名称を決める事ができないと いう事態が起こってしまいます。では、なぜこのような事がおこるのでしょう か。

2.1ヶ月に中気が2回入るわけ
 それは、旧暦の中気の決め方に問題があるからです。
 太陽の周りをめぐる地球の軌道は楕円であるため、地球の公転は不等速運動 です。従って、地球上から太陽を見た場合、黄道上をめぐる太陽の運動も不等 速になり、黄道上を24等分した二十四節気の各点を太陽が通過する間隔も一定 ではありません。さきほど、中気と中気の間隔は平均約30.4日と書きましたが、 実際には、地球が近日点に近い冬至前後では中気と中気の間隔が約29日11時間 なのに対し、遠日点に近い夏至前後では約31日11時間になります。
 そうすると、冬至前後では新月と新月の間に2回の中気が入り、その前後に は中気の無い月が生じるという事態が起こります。

3.対処法
 こういった場合は、まず二至二分(春分、夏至、秋分、冬至)のある月をそれ ぞれ2月、5月、8月、11月を優先して固定しておき、それから状況に応じて 中気の無い月に名前を割り振ることにします。これによって不具合に対処でき ますが、西暦2033年にはこの方法を用いても解決できないパターンが生じると 言われています。

 このように、実際の太陽が24節気の各点を通る瞬間を節気とする決め方を 「定気(ていき)」といい、旧暦のベースとなった天保暦が使っていた方法です。 それに対し、公道上を等速運動する仮想太陽が24節気の各点を通る瞬間を節気 とする決め方を「平気(へいき)」または「恒気(こうき)」といいます。「平気」 を使うと、このような例外は起こらないので、簡単に旧暦を作ることができま す。


目次へもどる

4.作例:2010年の旧暦


 では、実際に2010年の旧暦を作ってみましょう。
新月(旧暦の各月1日)の日と24節気(各月の中気)の日を調べることにより、来 年の各月1日の日付を決定します。なお、以下のデータは『こよみハンドブッ ク2008〜2010』(大阪市立科学館発行)から引用しました。
この年は、閏月(中気のない月)はありません。

朔(新月)の日 中気の名称 中気の日付 旧暦の日付
大寒(12月中) 2010年1月20日(水)
2010年2月14日(日) 旧1月1日
雨水(正月中) 2010年2月19日(土)
2010年3月16日(火) 旧2月1日
春分(2月中) 2010年3月21日(日)
2010年4月14日(水) 旧3月1日
穀雨(3月中) 2010年4月20日(火)
2010年5月14日(金) 旧4月1日
小満(4月中) 2010年5月21日(金)
2010年6月12日(土) 旧5月1日
夏至(5月中) 2010年6月21日(月)
2010年7月12日(月) 旧6月1日
大暑(6月中) 2010年7月23日(金)
2010年8月10日(火) 旧7月1日
処暑(7月中) 2010年8月23日(月)
2010年9月8日(水) 旧8月1日
秋分(8月中) 2010年9月23日(木)
2010年10月8日(金) 旧9月1日
霜降(9月中) 2010年10月23日(土)
2010年11月6日(土) 旧10月1日
小雪(10月中) 2010年11月22日(月)
2010年12月6日(月) 旧11月1日
冬至(11月中) 2010年12月22日(水)
2011年1月4日(火) 旧12月1日
大寒(12月中) 2011年1月20日(木)
2011年2月3日(木) 旧1月1日
雨水(正月中) 2011年2月19日(土)



これで旧暦の各月1日の日付が、現行暦の何月何日に対応するかが決まりました。 あと、各月の2日以降をそれぞれ割り振れば出来あがりです。各月は29日か30日に なるはずです。
というわけで、一度お手持ちの2010年カレンダーに旧暦の日付を書きこんで、練習してみてください。


目次へもどる

トップページにもどる