前回は、アルコールを飲むと体の中でどのような変化がおこるのか、血中のアルコール濃度によってどんな酔っ払いになるか等をお話しました。今回はアルコールの第2弾です。お酒が飲めない人も、ぜひ読んでください。

お酒のアルコールはエタノール
お酒の中のアルコールはエタノール…。それでは、他のアルコールが入っていたら行けないのか?いけません。例えば、メタノール(CH3OH)という燃料用アルコールがあります。これはエタノールより炭素が一つ、水素が2つ少ないアルコールです。これが体内でのエタノールと同じ変化をすると、ホルムアルデヒド(HCHO)ギ酸(HCOOH)というものに変わっていきます。 実は、このホルムアルデヒドやギ酸は、エタノールが分解されてでてくるアセトアルデヒド(CH3CHO)よりも毒性の強い物質なのです。

 ホルムアルデヒドは水に溶かしてホルマリンという物質になります。ホルマリンは防腐剤、接着剤の溶剤などで名前が出てくるので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。このホルムアルデヒドは中枢神経の抑制、呼吸器障害、腎臓障害などを引きおこします。また、ギ酸は、胃痙攣、おう吐、下痢を引きおこし、視神経と網膜細胞に作用して失明に至らせます。

 これらの原因となるメタノールは、8〜30ml飲むことで失明、下手をすると死亡に至ります。古い話では、戦中戦後にエタノール−メタノール混合液を分留して、エタノールを取り出し、お酒としたということも聞きました。しかし、きちんとそれができない、また、我慢できずにメタノールを飲んでしまい失明する人が多かったと聞きます。「眼科医ならばメタノールによる失明者を見ないものはいない。」とまで言われたそうです。メタノールを誤飲した時は、50%のエタノールを飲むと分解酵素のADHがメタノールよりもエタノールを分解するため、メタノールの酸化によって現われる症状が抑えられるといいます。ですから強いウイスキーなどでもいくらか解毒効果があります。


角丸四角形:      CH3OH → HCHO →HCOOH(失明、死亡)
             ↑             ↑
            ADH        ALDH









図.メタノールの代謝:前回エタノールとの違いとの注意



私はうわばみ?それとも下戸?

お酒に強い人うわばみ、飲めない人は下戸などといわれていますが、あまりカッコのいいよび名ではないですね。さて、大人の方は自分がお酒が飲める体質、飲めない体質というのはご存知かと思いますが、お酒を飲まなくても、飲んでも大丈夫な人、大丈夫ではない人を簡単に見分けることができるアルコールパッチテストというものがあります。

 テストに用意するものは、脱脂綿、テープ、消毒用アルコール、スポイトです。実験の仕方は、
   脱脂綿をテープにのる大きさにし、テープに貼り付ける。
   スポイトで脱脂綿にアルコールを2〜3滴染み込ませます。
   それを上腕(ひじから肩)の内側に7分間貼り付けます。その後、テープをはがし10分間放置します。

そしてテープを貼った後の肌の色が変わらなければ、お酒に強い人、赤くなればお酒に弱い人となります。このテストは、アセトアルデヒド分解酵素、ALDH2型の働きが強いか弱いかを調べるものです。日本人の55%は、この酵素が普通に働いているのでお酒が飲めるのですが45%の人は働きが弱く、5%の人はこの酵素がないためにアセトアルデヒドを分解できません。そのため、少量のお酒を飲んだだけでたいへんな目に合ってしまうのです。科学館の一部の職員にも協力してもらい、テストを行ったところ8人中5人は酵素が通常に働いており、肌の色に変化はありませんでした。しかし残りの3人は、皮ふが赤くなりました。学芸課内で、お酒が飲めないW氏はテープをはがした時点で真赤(写真2)になっていましたし、あまり飲まないI氏もほんのり赤くなっていました。

赤くなった腕
写真2.W氏の腕。少々わかりにくいです が、矢印の先が赤くなっています。

パッチテストで酵素が正常に働いているからといって、酒を大量に飲んでもOKというわけではありませんので、くれぐれも深酒なさらぬようご注意ください。

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