さそり座の星に異変
京都大学が主催する変光星ネットワーク(VSNET)の情報によると、さそり座のデルタ(δ)星が異常に明るくなっているそうです。

都会からでも肉眼でこの様子が観察できます。特に都市の中心部では、通常デルタ星の左の赤い星(アンタレス)しか見えないのに、現在は、右にデルタ星がならんで見えています。また、デルタ星と上下にならんだ3つの星の明るさは本来同じくらいなのですが、7月25日現在は中央のデルタ星が突出して明るく見えます。

これは、7月20日にアルゼンチンのオテロが報告したもので、通常は2.3等級のさそり座デルタ星が、2.0等級と30%ほど明るくなったことに気がつきました。その後、国際天文連合へのスペインのフェブレガによると、この増光は16日にははじまっており、24日のオーストラリアのファレルの観測によれば、1.8等級と60%もの増光になっています。私たちの太陽はコンマ数%しか明るさが変わらないことを考えれば、異変が起こっているといってよいでしょう。

この異変の原因としては、デルタ星の周囲に気体の円盤ができあがり、それがデルタ星へと落ちていくさいにこすれ合ったり、あるいは星の表面に衝突したりしてエネルギーが発生し、それが発光していると考えられています。実際、この星からは、うすい気体特有のHα(エッチ・アルファ)線の光が強く輝いていることが観測されています。


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