オリオン座ζ(ゼータ)星のX線観測

大質量星の性質は予想外に太陽と似ている!?



  アメリカのX線観測衛星チャンドラがオリオン座ζ星を観察して、 予想もしなかったことを明らかにしました。
  オリオン座ζ星はオリオンの三ツ星の一番東側の星です。 O(オー)型星に分類され、大きさ、重さはともに太陽の30倍、明るさは10万倍、という 超巨星です。このように大きな星は太陽と違って、外側に対流層(熱い味噌汁のように 上がったり下がったりするガスの層)を持たないと考えられています。
  一方、私たちの太陽は皆既日食の時に見られるように「コロナ」と呼ばれる 大気層を外側にまとっています。コロナは数百万度という高温で、X線を放射しています。 なぜ高温のコロナが太陽から逃げてしまわないのかというと、対流層の熱いガスの運動 (上がったり下がったり)によって作られる磁場によって閉じ込められているからだ、 と考えられています。
  O型星であるオリオン座ζ星は本来対流層を持たず、 そのため太陽のようなコロナもなく、 X線の放射機構は太陽とは全く違うと考えられていました。
  ところが今回ウィスコンシン大学の Waldron と Cassinelli はチャンドラに搭載された X線分光器を使ってオリオン座ζ星からのX線を詳しく調べ、 X線が太陽と同じようなコロナから放射されているらしいことを発表しました。 これは予想を覆す「非常に驚くべき結果」(Waldron)です。
  今後、対流層をもたない大質量星がどのようにしてコロナを持ちうるのか、 について解明が待たれます。

原文は英語ですが、
http://chandra.harvard.edu/press/00_releases/press_101800.htmlをご覧ください。

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