双子小惑星を捕らえた新技術

くるくる回る双子の小惑星

  アメリカのMerline 博士らが、ハワイ・マウナケア山頂にあるケック望遠鏡に 搭載された新技術を駆使して、互いに回りあう2つの小惑星を撮影しました。
  この小惑星ペアは小惑星番号90(アンティオーぺ)といい、 大きさはたったの80km、 ペア間の距離は160km。すりあうようにして互いの回りを回っています。 火星と木星の間の小惑星帯にあり、地球からの距離は約5億km!です。
  こんな遠くにある こんな小さな天体が、空気のゆらぎ(上空の風などの影響)をモロに受けて像がボケてしまう 地上の望遠鏡で撮影されたことは驚きとしか言えません。
  使われた驚異の新技術は「補償光学」といい、空気のゆらぎを相殺して、 まるで空気のない宇宙空間で観測をしたかのようなクリアな像を得る装置です。 日本のすばる望遠鏡にも搭載される予定です。
  今回はアンティオーペの他に、骨形をした小惑星 Kleopatra、衛星を持つ Pulcova の撮影にも成功しています。互いに回りあう小惑星や衛星をもつ小惑星は、 回り方から重さや成分が分かるので小惑星の性質を調べる上でとても重要な天体です。 ただ、ペア小惑星や衛星をもつ小惑星はまれですし、小さいので観測はとても難しい のです。「補償光学」という新技術の登場で小惑星の研究が進むことが期待されます。

原文は英語ですが、Merline 博士のプレス・リリース
http://www.boulder.swri.edu/~merline/press/をご覧ください。

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