すわ一大事!? NEO騒動の顛末

  9月29日に発見された小物体2000SG344が2030年に地球にぶつかるのでは ないか、と11月3日に国際天文連合(IAU)から報告がありましたが、より正確な軌道計算に よって「2030年にぶつかることはなさそうである」ということになりました。
  ただし2071年9月16日に1000分の1の確率で地球にぶつかる可能性が残されている そうです。これも概算であり、今後もより注意深く追尾観測して、正確に軌道の計算を する必要があります。
   もっとも、2000SG344は地球にダメージを与えるような物体ではないのではないか、 とも考えられています。2000SG344の軌道は地球の軌道と酷似しています。 その上、軌道計算から30年前にも地球に近づいていたことが分かっています。 30年前というと、アメリカが月に有人ロケットを送り込むアポロ計画を実施していた頃です。 そのため、SG344は小惑星ではなく、アポロ計画で使用さ れたロケットの残骸なのではないか、という見方が強くなっています。この場合、たと え地球に「ぶつかった」としても大気中で燃え尽きてしまいますので、大した影響はあ りません。また、最悪、小惑星だとしても、その大きさは最大で70mほどしかなく、地上 の生物に壊滅的な打撃を与えるほどではないと推定されています。

上記記事の原文は英語ですが、NASAのヘッドライン・ニュース
http://science.nasa.gov/headlines/y2000/ast06nov_2.htm
をご覧ください。

※今回の2000SG344の発見は偶然ではありません。地球に ぶつかる危険性のある物体(地球接近天体:Near Earth Object = NEO)をいち早く 発見しようという、宇宙監視(スペースガード)プロジェクトの一環によるものでした。 恐竜は6500万年前の巨大小惑星の衝突により滅びたと考えられています。人類は 恐竜よりは知性がありますから、座して滅びを待つのではなく、危険を前もって 察知できれば何らかの対処ができるはずです。その思想の下に行なわれている のが「スペースガード」です。地球接近天体(NEO)や宇宙監視プロジェクトについては  日本スペースガード協会 のホームページをご覧ください。

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