中性子星の孤独な一人旅

  太陽系のすぐ近く(といっても距離は200光年ですが)を秒速100kmと いう猛スピードで駆け抜ける中性子星の姿をハッブル宇宙望遠鏡が撮影しました。 この中性子星はRXJ185635-3754という符号がついており、1992年にドイツの X線観測衛星ROSATにより発見され、1996年からハッブル宇宙望遠鏡が追跡を していたものです。 いままでたくさん中性子星は見つかっていますが、200光年というご近所で見つかっ た例は他にありません。
  中性子星は普通の星とペアになって見つかることが多く、いままで見つかっている 中では高速では移動しないものが大半なのですが、この中性子星は猛スピードで 孤独な一人旅をしています。超新星爆発の勢いで飛び出してしまったものと考えられ ます。その旅路を辿っていくと、へびつかい座ζ星にぶつかります。100万年前、 普通の星だった頃はへびつかい座ζ星とペアになっていたものと推測されます。
  ペアを組んでいる中性子星が主流な中で孤独な中性子星は 中性子星の性質を探る上で貴重な存在です。今後も引き続き観測していく 必要があります。

中性子星 は星の最期である超新星爆発において残される星の芯です。 太陽ほどの重さを持ちながら大きさはたった10kmくらいしかありません。米粒1つが 1億トン!もするほどギュウギュウに詰まっていることを示しています。 中性子星を作っている物質はもはや原子として存在できずに、 陽子と電子がくっついて中性子になってしまっています。

上記記事の原文は英語ですが、ハッブル宇宙望遠鏡のヘッドライン・ニュース
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/2000/35
をご覧ください。

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