----------------------------------------

地球の中心はなぜ熱いのか

読売新聞の読者の質問に、科学館の学芸員が答えた内容を紹介します。

質問:
「なぜ地球の中心核は熱いのか? 他の天体(月)ではどうなっているか?」

お答え:

  地球の構造はゆで卵に喩えられます。黄身に当たるのが地球の「」と呼ばれる部分で、 白身に当たるのが「マントル」、そして殻(カラ)に当たるのが地面「地殻(ちかく)」です。マント ルや地殻は岩石からできていて、核は鉄からできています。核の温度は約6000度もあります。
46億年前、地球には宇宙からたくさんの小天体が降ってきていて、地球は熱くどろどろに溶けていました。 熔けた地球では、油と水が分離するように、重い鉄が中心に沈み、“軽い”物質は表面近くに浮いてきました。 時間がたつと熱は徐々に宇宙空間に逃げていきます。 地球は冷えて、表面には厚い岩の層(地殻+マントル)、中心には鉄の核ができました。 地球の中心核が熱いのは地球誕生直後の熱く熔けていた頃のなごりなのです。
その中心核がなぜ今も熱いのかというと、主に2つの理由があります。

  1. 中心核がマントルという岩の厚い層によって保温されていること

    実はマントルはまさに外套、マントという意味なのです。地面を触ってもあまり熱くなくて、地球中心が6000度もあるなんて感じられませんよね。岩は鉄などに比べると熱を伝えにくいのです。紅茶を煎れる時、ティーポットをむき出しにしておくと冷めてしまうので、保温するためにティーコージーという覆いを被せます。この時ポットは熱いですが、ティーコージーは触ってもあまり熱くありません。熱を逃さないのです。マントルは中心核にとってティーコージーの役割を果たしています。 さらに、マントルは熱を伝えにくいだけではなく、自分で熱も作っています。マントルの中には微量ながら放射性元素が含まれていて核分裂によってゆるやかに熱を出しているのです。電気毛布でポットのお湯を沸かす事はできませんが、普通の毛布で包むより保温効果が高まります。それと似ていますね。

  2. 中心核自身に温度を下げない仕組みがあること

    中心核は内核(固体の鉄)と外核(熔けた鉄)に分かれています。核から熱が奪われると、熔けた鉄が固体に変わります。この時鉄は熱を出すので温度が下がらないのです。この熱を難しい言葉で「潜熱(せんねつ)」といいます。理科の実験で氷水を冷やした事があるでしょうか? コップに水と氷を入れると水の温度は0℃になります。これを冷凍庫で冷やしても水が全部氷になるまでは温度は0℃のまま下がりません。水が氷になるとき潜熱を出すからです。地球の中心核も全部が固体の鉄になるまでは6000度のまま変わらないのです。

月の中心核も鉄からできていますが、すでに全部が固まっていて温度は1600度ほどにまで下がっています。 太陽の場合は地球や月の仕組みとは全く違っていて、中心の温度は1500万度もあります。これは太陽中心は巨大な水素核融合炉になっていて莫大なエネルギーを生み出しているからです。





【その他】の話題
科学あれこれ
ホームページへ

----------------------------------------