大気圏外での排気ガス

読売新聞の読者の質問に、科学館の学芸員が答えた内容を紹介します。

質問:
大気圏外でロケットなどから放出されたガスはどこに行くのか。地球大気に戻ってくるのか?

回答:
  大気圏外で放出されたガスは地球大気には戻らず、宇宙空間に広がっていってしまいます。
  地上100kmでの気圧は地上の100万分の1くらい、200kmでは10億分の1くらいしかありません。 大気圏外(地上約120km以上)は超真空状態ですので、放出されたガスは急速に広がってしまいます。 おまけに太陽からの紫外線がとても強いので、二酸化炭素などは炭素と酸素に分解されてしまいます。
  ごく簡単にいうと大気圏は気体が地球引力の影響を強く受けているところです。 大気圏外では気体の熱運動に比べて地球引力の影響が弱く、気体は自由に広がってしまうのです。
  ちなみに大気圏の外側には気体が地球磁場の影響を受けている「磁気圏」というのが広がっています(数万kmほど)。 それより外側では太陽の影響(太陽風、太陽磁場)の影響が強くなります。
  ところで地球の半径は6400kmありますが、大気圏の厚さは100kmほどしかありません。 とても薄いですね。この薄い大気で地球上の生命は守られているのです。 大切にしないといけないですよね。

 

 


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