ハッブル数の推定

Ia型超新星によるハッブル数の推定

  宇宙がどのような割合で膨張しているかを示すハッブル数 H0は 宇宙年齢の推定にも関わる非常に重要なパラメータです。 ハッブル数を推定するには遠方天体までの正確な距離を求める必要がありますが、 天体までの距離は直接巻尺で測ることができないので、さまざまな方法が試みられています。
  今回、オーストラリアのGibson とカナダのStetsonはハッブル宇宙望遠鏡を 使い、NGC4527という銀河(距離約4240万光年)に現れた超新星1991Tを使ってより確実な ハッブル数を求めました。
  Ia型超新星は白色わい星にガスが降り積もって限界質量を越えたために爆発 するもので、絶対等級(本来の明るさ)と光度変化(明るさの減り方)に関係があると言われています。 光度変化を観測して、そこから求めた絶対等級と見かけの明るさとを比べることで、 超新星までの距離、すなわちその超新星があらわれた銀河までの距離が推定できるのです。
  彼らはまず、超新星1991Tがこの絶対等級−光度変化関係に則っているかを 調べるために、NGC4527までの距離を別の方法で測定して1991Tにこの方法が使 えることを確かめ、他の9つのIa型超新星のデータと総合することでH0 を求めました。
  得られたハッブル数は誤差を入れて、
    H0=73±9 km/s/Mpc
というものでした。これまでIa型超新星を使う方法はあまり正確ではないといわれて いましたが、他の方法によって推定されたH0≒75km/s/Mpc と良く合っています。 今後さらに誤差を小さくしてより正確なハッブル数が得られることでしょう。

参考文献:Gibson & Stetson, ApJL 547, L103 (2001)

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