アリ星雲

うちゅう昆虫記〜アリ編〜

  太陽のような星が死を迎えると、自らを形作っていたガスを 周りに放出して惑星状星雲になります。「惑星状」というのは、昔小型の望 遠鏡で観察したときに惑星のように丸く広がって見えたことから名付けられた ものです。
  しかしながら現在、高性能の大型望遠鏡が活躍するにいたり 惑星状星雲は実にさまざまな形をしていることが明らかになってきました。
  今回、NASA、 ヨーロッパ天文連合(ESA)、 ハッブル宇宙望遠鏡研究所の 共同チームがMz3という惑星状星雲の鮮明な写真を撮りました。 姿かたちがアリそっくりです。
  ガスが中心の星から360度同じように吹き出ているのではなく、 ”アリ”の軸方向にだけ激しくガス放出が起きているのです。このような放出の仕方 を双極流といいますが、なぜこのように両極方向にだけガスの放出が起きるので しょうか?
  2つの可能性があります。1つは伴星が回っていて、そちらの方には ガスが出ない、というもの。もう1つは星の磁場によって巻き取ったスパゲッティの ようにガスが絞り込まれている、というものです。後者の場合は生まれたての星にも 見られる現象です。
  いずれにせよ数年前には思いもつかなかったような形の惑星状 星雲がどんどんと見つかっています。今後もさらに増えていくでしょうし、星の最期が どのようなものかについても研究が進んでいくことでしょう。

参考: ハッブル宇宙望遠鏡のニュース記事

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