星のささやきが聴こえる!

星の内部をさぐる星震観測

   星(恒星)の内部はどうなっているのでしょう?
  星を観測して知ることができるのは、 表面の温度や明るさ、大気の成分ぐらいです。星の内部を直接見ることはできません。
   そんな星の内部構造を探るのが星震学(せいしんがく)です。
  地震波の観測によって地球の内部が わかるのと同様に、星の微妙な震え(これはまさに星の内部を伝わってきた音波です) を観測できれば、星の内部を推測することができるのです。お医者さんがとんとんとお腹を たたいて聴診器で内臓の様子を知るのと似ています。
   もっとも、「星の音」はきわめて小さなささやき声ですので、観測するのは至難の業です。 「星の音」は表面の微妙な震動(膨らんだり縮んだり)として観測されます。 もっとも近い星=太陽では1960年代から「陽震学」が発展してきて、現在、太陽の内部 については精密科学といっていいほど詳しくわかっています。
   しかしながら普通の恒星は非常に遠くにあるため、今まで星震は観測されていませんでした。

   今回、スイスの天文学者グループがヨーロッパ南天文台(ESO)のLa Silla 観測所で、 太陽系に最も近い恒星であるケンタウルス座α星を観測し、7分周期で震動している ことを発見しました。太陽以外ではじめて「星のささやき声」が聴こえたのです。 太陽でも5分震動が観測されていますが、これから高性能の望遠鏡によって、他にも 多くの星について同じような震動を観測できれば、星の構造についての理解が よりいっそう進むものと期待されます。

※原文は英語ですが、 ESOのプレスリリースもお読みください。

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