ガンの原因ではなかった?魚のおこげ


 これまでガンの原因のひとつとしてあげられていたものに、食べ物の「こげ」があります。ところが最近の研究結果で、もしかしたらこげは発ガン物質としての可能性が低いのではないかというレポートが2001年5月31日付の朝日新聞朝刊で紹介されていました。

 いろいろな薬などについて、ガンの原因となるような細胞の突然変異を調べる検査があります。これまではラットの細胞で調べていたのですが、ヒトの細胞を使って実験を行うとこれまでとは違った結果が出たのです。

 魚などを焼いてできるこげは、、タンパク質が変化してつくられるヘテロサイクリックアミン類とよばれる物質です。今回調べたこげの成分5種類のうち4種類は、これまでラットで調べていた突然変異の発生率よりも低くなったのです。トリプP2については変異率がほぼ0に近いなどの結果が出たそうです。 また、ピーナッツなどに生えるカビからでるアフラトキシンB1は150分の1以下の突然変異発生率となりました。

 唯一、ニトロソアミンの一つであるニトロソジメチルアミンがラットで調べていたときよりも変異率が5.6倍も高くなりました。
この後もいろいろな調査が続いて同じような結果ばかりがでるようになると、 将来、もしかしたらこげは食べても大丈夫ということになるかもしれません。でも、まだまだこげはよけて食べた方が安全ですね。

トリプP2:動物が生きていくために欠かすことのできない、必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンから生じる物質。遺伝子と結合して突然変異をおこすと考えられている。

アフラトキシンB1:特に、ニワトリ、アヒル、ブタなど家畜に対する致死性、発ガン性が大きい有機化合物


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