紙おむつのヒ・ミ・ツ

  私事で恐縮ですが、我家の子どもは2才すぎにしておむつがようやくはずれました。いっときは、布と紙のおむつの併用でしたが、後半は紙おむつ(パンツ)のお世話になりっぱなしでした。さて、紙おむつにおしっこをしても外に漏れないのはなぜでしょう?紙おむつを分解すると中には繊維とパラパラした細かい粉が出てきます(写真1、2)。じつは、この細かい粉に紙おむつのヒミツが隠されています。

     

     写真1.紙おむつ              写真2.紙おむつの中の粉

 この細かい粉は、吸水性高分子といい、ポリアクリル酸塩といわれるものです。ポリアクリル酸(CHCHCOOH)nに金属イオンをつけ、塩(えん)にし、特殊な構造をとることで水に溶けないようにします。特殊な構造とは、分子同士に橋をかけるような形でくっつけるのです。

 すると、これらがからみあってミクロの網ができあがります。水はこの網の中に閉じ込められ、外に出られなくなります(写真3.4)。ちなみにスポンジも水を吸い取ることができますが、大きな違いは、握ったりするなど、外から力をかけても水がもれないことです。

    

 写真3.水を含んだ高分子          写真4.逆さまにしても落ちません。

 この粉と同じような性質を持つ食べ物にこんにゃくがあります。こんにゃくも水を含んでおり、それを外に出しません。そして自分の重さの30倍以上の水を吸い取ることができます。吸水性高分子は、自分の重さの数十〜数百倍の水を吸い取ることができ、中には千倍以上の水を吸い込むことができる粉もあります。

 この粉は、他にも砂漠化地域での農耕作や緑化目的のため使用されることもあります。雨の降りにくい地域でこの粉を使うと、植物の栽培ができるということです。もしかしたら紙おむつの粉で、食糧危機が解決できるかも?さらなる発展を期待しましょう。


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