時空を超えたカップル?

NGC4319とMarkarian205


 写真中央に見えるのは渦巻き銀河NGC4319です。
 その右上に、寄り添うようにマルカリアン205が写っています。

 この"二人"とてもお似合いのカップルに見えますが、 実は時間も空間も遠くかけ離れた存在、「赤の他人」です。

 NGC4319の距離は8000万光年(つまり8000万年前の宇宙)。
 一方のマルカリアン205はなんと10億光年のかなた(つまり10億年前の宇宙)にあるのです!
 この2つの天体はたまたま近くにいるように見えるだけなのです。 

 マルカリアン205はクエーサーと呼ばれる種類の 特殊な天体です。 クエーサーは中心核が異常に明るくなっている銀河で、その中心核にある巨大なブラックホールに 何らかのメカニズムで燃料(ガス)が補給されている状態だと考えられています。 100億光年を越えるようなクエーサーが多数ある中で、マルカリアン205は比較的"ご近所"にあるクエーサーです。
 近いだけに、ハッブル宇宙望遠鏡をもってすれば、細かい構造まで調べることができます。
 マルカリアン205のすぐ下に小さな天体があります。 こちらは本当にマルカリアン205と"つきあっている"伴銀河です。 この伴銀河との相互作用("おつきあい")によって、マルカリアン205は中心核ブラックホールに 燃料が補給されてクエーサーになっている("心臓がドキドキしている")と考えられます。

 実は私たちの銀河系を含め、多くの銀河の中心には巨大なブラックホールがあることが わかっています。 今は"普通"の銀河にも、昔は激しく輝いていた時期があったと考えられています。

本文は英語ですが、 ハッブル宇宙望遠鏡のプレスリリース をご覧ください。

2002.10.5記

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