納豆ネバネバ

  好き嫌いが結構分かれる食べ物に納豆があります。好きな人にはたまらない一品ですが、嫌いな人にとっては、いかようにもイチャモンをつけられるものですね。
しかし納豆のネバネバが、将来の地球を救う救世主になるかもしれないのです。

 納豆は、どくとくのねばり気を持っていますが、これは、グルタミン酸が5000個程度つながってできたポリグルタミン酸によるものです。この納豆の糸に特殊な細工を施すととても硬い樹脂になります。この樹脂が最大で自分の重さの5000倍の水を含むことができるようになるのです。そう、ここでも以前紹介した高分子吸収剤と同じ働きを持つのです。以前紹介した物よりも吸水性が優れているだけではなく、この納豆樹脂は、土に埋めておくと分解してあとかたもなくなるそうです。開発したのは、九州大学大学院の原敏夫先生。

 しかし納豆1kgから1gの糸しか取れないのが難点でした。そこでグルタミン酸の水溶液に納豆菌をいれ培養すると1リットルの水溶液から30〜40gの糸が取れるようになったそうです。
さらにこの糸を樹脂にするには放射線を照射しなければならず、このコストが非常に高いという問題もありましたが、電子線照射での樹脂化の研究がされているようです。

 この樹脂に植物の種を入れ、荒れた山や砂漠などにおいておくと、わずかな水でも吸収し、それを逃さないため、種に水分を補給でき、さらに時間がたつと、樹脂そのものが自然に帰ってしまう…、こんな壮大な計画も考えられているそうです。

納豆のネバネバで、地球の砂漠化、食糧問題、環境問題といった問題が解決しそうな気もするのは、お気楽すぎるでしょうか。
                                        (記:2002.2.16)

 

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