ユーカリと環境ホルモン

  さまざまな環境問題がありますが中でも、環境ホルモン(外因性内分泌かく乱化学物質)は、ほんとに少ない量で悪影響を及ぼす可能性のある物質です。しかし、その物質が
黒と断定するためには時間と労力が必要で、なかなか判定が進みません。
ビスフェノールAも環境ホルモンと疑われている物質のひとつです。この物質は女性ホルモンのエストロゲンと形が似ており、女性ホルモンに似たせいで生物の体内で問題を起こすのではないかと考えられています。

 岡山理科大学の浜田博喜教授らの研究によると、植物の酵素を利用してビスフェノールAが分解できるのではないかと報告を行いました。

その植物とは、オーストラリアの樹木として有名なユーカリの仲間でツキヌキユーカリというものです。園芸用としても知られている、このツキヌキユーカリ培養細胞にビスフェノールAを与え、3日間の培養後、NMRや質量分析計などで調べました。すると、ビスフェノールAにグルコースが化合した、これまでになかった新しい化合物(ビスフェノール配糖体)ができていました。

 これらの中のひとつは、ビスフェノールAのエストロゲン活性が80%低下しており、さらに途中でできる物質がカビや微生物で分解可能な物質になることがわかりました。
もし、この技術が確立されたら、ユーカリを使ってビスフェノールAを問題の起こらないように処理できるようになるかもしれません。
                                            (2002.6.29記)

参考資料:現代化学7.2002  N0.376
                                      

 

【化学】の話題
科学あれこれ
ホームページへ