2003年の天文現象

 2003年の天文現象

 2002年は5惑星集合や、日食、しし座流星群などが話題になった年でした。明けて2003年、今年見られる注目の天文現象を紹介いたします。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した火星

☆火星大接近(8月27日

 今年1番の話題は、8月27日に大接近となる火星です。最接近時の火星はみずがめ座にあって、ほぼ一晩中見えています。明るさも-3等まで明るくなりますから、木星を上回る明るさの赤い星となります。
 火星の接近はおよそ2年2ヶ月ごとに起こりますが、主に火星の軌道が楕円軌道であることなどの理由により、最接近のときの地球と火星の距離は毎回異なり、ます。およそ17年の周期で、大接近と小接近を繰り返します。今年の火星の大接近は、17年毎の大接近の中でも特に条件が良く、科学館でも観望会を予定しておりますので、ぜひ実際に火星を見てみてください。9月以降は地球との距離が次第に遠ざかっていきますが、年末までずっと、夕方の空で見やすい位置にいます。


☆ニート彗星

 2002年11月6日に発見された彗星C/2002V1(ニート彗星)が2003年1月末から2月はじめにかけて明るくなりそうです。順調に明るくなれば、1月中旬から2月はじめにかけて、夕方の西の空に見られるでしょう。


太陽面を通過する水星(模式図)

☆水星の日面経過(5月7日

 5月7日の午後、水星が太陽の手前を通り過ぎる日面経過(にちめんけいか)という現象が起こります。望遠鏡で観察すると、太陽面の中に、水星の小さな黒い影が見つかります。水星の日面経過は、大阪では14時11分に始まります。ゆっくりと水星が太陽の手前を移動していき、現象が終わるのは日没後になります。太陽系の惑星が動いていることが実感できる現象です。
注意!:太陽はたいへんまぶしいので、望遠鏡や肉眼で直接見てはいけません。


☆金星食(5月29日

 金星が月の向こう側に隠される金星食が5月29日に起こります。大阪では、13時54分に金星が月に隠され、15時19分に再び金星が見えるようになります。ただ、残念なことに、昼間に起きる現象ですので、観察には双眼鏡か望遠鏡が必要になります。双眼鏡や望遠鏡で観察する場合は、誤って太陽の方向へ向けてしまわないように十分注意しましょう。


☆惑星の見ごろ

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
水星 × × ×
金星 × × × × ×
火星 深夜 深夜 深夜
木星 × × 深夜
土星 × × 深夜 深夜

夕:夕方西の空、宵:〜夜半、夜:一晩中、深夜:夜半〜、 朝:明け方東の空、 ×:太陽に近い


☆ 日食・月食

5月16日 皆既月食 南アメリカ,北アメリカ東部
5月31日 金環日食 イギリス北部,アイスランド,グリーンランド
11月9日 皆既月食 ヨーロッパ,アフリカ西部,南米東部,北米北東部
11月24日 皆既日食 南極

残念ながら、全て日本からは見ることができません。


☆流星

 ここ数年話題になっていたしし座流星群も2003年にはほぼ沈静化して、あまり見えなくなるでしょう。年間3大流星群に挙げられる大きな流星群は、しぶんぎ座流星群(1月4日)、ペルセウス座流星群(8月13日)、ふたご座流星群(12月14日)です。この中で条件が良いのはしぶんぎ座流星群で、ペルセウス座流星群とふたご座流星群は、ともに月が明るいので、観測条件はあまり良くありません。

2003.1.18記

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