宇宙における星形成の歴史

宇宙は青かった

 宇宙137億年の歴史の中で、星がいつ、どのようにできてきたのか(そして死んでいったのか)を 知ることは天文学における重要なテーマです。
 宇宙における星形成の歴史を調べるには、遠くの宇宙を観測することがもっとも直接的な方法です。 光の速度は有限なので、遠くの宇宙を見ることはすなわち昔の宇宙を見ることになるからです。

 ドイツの天文学者ルードニック博士らはヨーロッパ南天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT) を使い、HDF−Sと呼ばれる領域(南天のきょしちょう座付近)の銀河300個を観測しました。
 その結果、宇宙が25億歳ぐらいの時には、現在よりも星の数は少なかったものの、 若く、大きな星が盛んに生まれていたことが分かりました。 若く、大きな星は"青い"光を出しますので、 昔の宇宙は現在に比べて「青かった」ことになります。 ちなみに現在の宇宙でも星形成は続いていますが、相対的に小さく、年老いた星(赤っぽい光を出す)が多いので、 平均するとベージュ色です。

 こうした星形成の歴史は先進国における人口ピラミッドの推移と似ていないこともないかもしれません。
 一昔前は人口そのものは今よりも少なかったですが、赤ちゃんの出生率が多く、平均寿命も若かったのに対し、 現在は人口も増え、平均寿命は延びているのに、出生率が下がり、全体として高齢者の比率が増えています。

 宇宙における星形成先進国における人口ピラミッド、どちらも今後どう変化するのか気になるところです。

原文は英語ですが、ESOのホームページをご覧ください。

2003.12.21記

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