謎の天体セドナ

太陽系最遠の天体が発見された

 今まででもっとも遠い太陽系の天体がカリフォルニア工科大学(Caltech)のブラウン博士らの 天文学チームによって発見されました。
 大きさも、冥王星についで大きく、推定直径1000〜1600kmです (冥王星は2200km。ちなみに地球の月は3400kmです)。 セドナの大きさ比較:1mile=1.6km(NASA/JPL-Caltech/R. Hurt:SSC-Caltech)
 軌道は細長い楕円形で、 太陽からの距離は最も近いところで76天文単位(1天文単位は太陽と地球の間の距離で、約1億5000万km)、 最も遠いところで900天文単位(130億km)もあり、1万年以上かけて軌道を一周します。

 正式には2003VB12という符号がついていますが、 寒い北極地方の神話にちなみ、Sedna(セドナ)という名前が提案されています。

 ところで、一部報道に、このセドナを「惑星」と紹介しているものがありますが、惑星ではありません

 惑星はその軌道付近で飛びぬけて大きい(他の天体をすべて合計したよりも質量の大きい)天体をいい、 現在では冥王星ですら惑星ではない、とする考え方が主流です(冥王星は歴史的経緯から惑星に分類されていますが、議論があります)。 

 セドナに関しては、小惑星の仲間といえますが、 冥王星の仲間のエッジワース・カイパーベルト天体(30〜50天文単位)よりも遠く、 彗星のふるさととされるオールトの雲(1万天文単位)よりも近いので、新たな種類の太陽系天体なのかもしれません。

 観測機器の発展により、今後、こうした太陽系の果ての天体が次々と発見されていくことでしょう。

参考サイト:
Caltechのプレスリリース(英語)
国立天文台・天文ニュース(704)

2004.3.20記(石坂

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