2004年のノーベル医学生理学賞

においの分子を鼻にくっつけて・・・ 2004年のノーベル医学生理学賞

 

「どうして、においって感じるんだろう?」と考えたこと、ありませんか?

 

そのこたえはズバリ、「においの分子があなたの鼻の中にくっついたから!」

 

ということは、満員電車の中で昨夜のお酒のにおいが残っているオジさまのにおいを感じてしまったとき、それは、そのオジさまの体から放たれたにおいの分子があなたの鼻の中にくっついたからなんですよね、(うぅ…)。

 

いいにおいもその逆も、感じるしくみは同じです。においの分子(小さなつぶつぶ)が鼻の中にある受容体にくっつくと、神経を通して信号が脳に伝えられ、わたしたちは「○○のにおいだ!」とわかるのです。

 

さて、今年2004年のノーベル医学生理学賞は、「においの受容体の発見と嗅覚システムの解明 "for their discoveries of odorant receptors and the organization of the olfactory system"」を研究した2人の科学者に贈られました。まさに「においの研究」です。

 

今回のノーベル医学生理学賞受賞にあたって、評価された業績は以下の2点です。

 

業績(1) においの受容体(タンパク質)を作る遺伝子を特定したこと

:1つの遺伝子が1つのにおい受容体を作ります。受容体の数(=遺伝子の数)はマウスで約1000種類。人間はマウスより少なく数100種類で、遺伝子総数の約3%を占めています。

 

ところが人間は、約1万種類ものにおいを感じることができます。におい受容体は数100種類。これでは1万種類のにおいのためには全然足りません。そこで・・・

 

業績(2) 1つのにおい分子はいくつもの受容体に反応することを発見したこと

:こうすることによって数100種類しかない受容体でも、1万パターンものにおいの判別が可能になります。さらに、受容体からにおいの刺激が伝わわるしくみを詳しく解明した点も評価されました。

 

 

この2004年ノーベル医学生理学賞者は、

リチャード・アクセル(Richard Axel) コロンビア大学

リンダ・バック(Linda.B.Buck) フレッド・ハッチンソン病院

【スウェーデン カロリンスカ医科大学 10月4日発表】

 

くわしくは、ノーベル財団のホームページ http://nobelprize.org/medicine/laureates/2004/ からプレスリリースをご覧ください。

 

科学館の2階には、いろいろなにおいを体感できる「においをかいでみよう」という展示があります。今年のノーベル医学生理学賞を体験してみませんか?

 

2004.10.8.記(2004.10.24.更新)

 

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