『男装の科学者たち』

マーガレット・アーリク
北海道大学図書刊行会 2400円+税
変わったタイトルの本です。でも、副題を見れば内容がわかるでしょう「ヒュパティアからマリー・キュリーへ」。そう、これは女性の科学者の活躍を紀元前から19世紀末まで追った本なのです。

彼女らの中には、科学における大業績をあげたものも少なくありません。マリー・キュリーなどは、彼女の功績(放射能の発見)なくして20世紀の科学はないという重大なものです。しかし、多くの功績は彼女の名前ではなく、偽名、夫や兄弟の名前で公表されました。これは、社会的な偏見、特に同僚の男性の科学者による偏見や妨害によるものです。そして、彼女らは歴史の中に埋もれたのです。

本書は、そうした埋もれた歴史をスコップで少々すくっただけかも知れませんが、それでも、宝の山です。膨大な注や参考文献とともに、この方面に興味を持った人の道しるべとなる一冊でしょう。同時代の男性の科学者を知るにも、貴重な本であることも強調しておきます。


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