『星座を見つける』

出雲晶子
立風書房 1700円+税

この本は、まさにプラネタリウム! 主な星座を、その「結び方」「見つけ方」を軸に神話や天文学の話題などで潤色しながら、紹介した本です。筆者は横浜こども科学館のプラネタリウムのベテラン解説者であり、変光星の研究をしていたこともあり、趣味は星の神話や伝説などの調査と、まさにこういう本を書くのにうってつけの人です。語り口も、まさに、プラネタリウムのうまい解説がそのまま本になっており、星座を見つける「勘所」を押さえた記述になっています。

また、本書は変形版で、ほぼ真四角な本です。それを生かして見やすい図版を豊富に取り入れており、この点も好感できます。地上を入れた四角い星の図は、筆者のコダワリを感じさせます。

さらに、本書のオシマイにある「かいせつ」には、星座鑑賞から天文学の初歩への橋渡しとなる、天体の動きなどの解説もあり、随所に挿入されたコラムと共に「話題」として役にたちます。また、解説の中には、著者のモーレツともいえる「星空学」が込められており、星座に詳しいと思っている人でも知らないことがたくさんあるでしょう。

そんな本書の、唯一にして最大の欠点は値段です。ああ、980円だったら。あ、あと内容が豊富すぎて、野外で使うのにちょっと向きませんね。じっくり読んで、内容を頭にいれて、外にでましょう。一部をコピーをして、カードケースにはさんで外に出てもいいでしょう。


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