『星・物語(理科年表読本)』

パトリック・ムーア 訳/岡崎彰・吉岡一男
丸善株式会社 1340円+税

世界的に有名なイギリスの天文教育者パトリック・ムーア氏の本は、小さな本であっても、膨大な知識に裏打ちされた読み応えのあるものが大変多いことで知られています。本書も、そんな本の一つです。

原著の題名は astronomers' star。天文学者の目で見た星の姿が、超有名天体を例にとりながら述べられています。たとえば、シリウス・ベテルギウス・すばる・ヴェガ・アルゴル・ミザールなどなど

本書では、これらの天体が天文学の舞台にどのように登場し、そして解明されていったのか、歴史を紹介しながら述べられています。観測結果に対して様々な説が出され、別の観測によって解明されていく。科学の現場というのは実にドラマティックなものというのがかいま見られると思います。そして全章を読み終わると、星に対する見方が著しく豊かになるはずです。それこそ、天文学者の見る星の姿なのです。

また、本書には、天文業界では有名でも一般には知られていない「スーパースター」がいくつか登場します。現代天文学の主役は目で見えない星がほとんどなのですが、りゅうこつ座η星、SS433、BN型星、そして恒星ではありませんが3C273、、、。これらの星にはまだ謎が多く残されています。

星の物語というのは、神話ではありません。これまでサイエンスが見いだしてきた、本当の星の物語を味わうのに本書は手頃な一冊です。


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