『火星に魅せられた人びと』

J・N・ウィルフォード
河出書房新社 2718円+税

1997年7月4日、20年ぶりに火星に着陸したマーズパスファインダー号は、火星についての様々な観測事実を再確認するとともに、自転軸、気候などの変化をとらえました。しかし、報道された「発見」といわれるものの殆どは、それまでの火星研究や探査でおおむねわかっていたものです。本書は、1990年に書かれたもので、やや内容は古いもののマーズパスファインダー号以前の火星探査・研究の歴史が、克明に描かれています。

また、将来の火星関連の事項についても書かれていますが、ロシアのいくつかの火星計画(マルス96など)は失敗し、アメリカのマーズグローバルサーベイヤーも失敗したこと。あるいはアメリカの財政赤字が劇的に改善されたこと、マーズパスファインダー号の成功と、それによってアメリカ人の目が火星に向いたことなど、このあたりの事情は大きく変わりました。このあたりを補完する本としては、高柳雄一ほか「火星着陸」NHKがいいでしょう。またその間は1996年刊行のカール・セーガンの「惑星へ」朝日新聞社あたりがいいでしょうか。なんにせよ変化が激しくてドラマティックなのが火星探査です。


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