『一億個の地球 星くずからの誕生』

井田茂・小久保英一郎
岩波書店(岩波科学ライブラリー71) 1000円+税
1995年は、天文学にとって記念すべき年です。それは、この年はじめて、太陽系外に惑星が発見されたからです。

こういうと「バーナード星に惑星が見つかっていたのでは?」という物知りな方も出てくるかと思いますが、かなり前に否定されています。

さて、太陽系外惑星は、プラネットハンターによって、その後次々に発見され、現在では30個近くにのぼっていますが、発見される惑星がかなり問題です。大きい惑星しかみつけられないのは仕方ないにしても、それが、異常なほど中心にある星に近いものが多数見つかったのです。

太陽系の姿(内側に小さな惑星。外に大きな惑星)が標準だと考えてきた科学者にとって、これはかなりショッキングなことでした。もしかして、地球のような星は、フツーではないのでしょうか?

それとも、これらは中心に落ちてきた巨大惑星なのでしょうか? 本書は、この「非常にホットな」太陽系外惑星と太陽系の誕生。そして、地球のような星がはたしてどのくらいあるのか? という問題を、若手気鋭の「太陽系製作者」、すなわちコンピュータ実験で太陽系の誕生を探る2人が切りこんでいます。

宇宙でありながら、摩擦や圧力が複雑にからみあう太陽系の誕生、地球の誕生を読み解く冒険を、本書で体験できるでしょう。そして、いま、まさに進んでいる研究を見る席を、先端の科学者の傍らに設けることができるはずです。


科学の本だなへ
科学ニュース・トピックへ
ホームページへ