「大阪消防」2006年新年号・かがくのたまご vol.5


 科学するこころ


 今、世間は空前の"脳力開発"ブームを迎えていますね。ちまたには"脳力"を鍛えるグッズがあふれています。「脳みそは使わないとさびてしまう。だからパズルやクイズで日ごろから脳を鍛えましょう」というわけです。

 "脳力"は科学的な発見とも深く関係します。科学においては「観察」→「予測」→「検証」というプロセスを経て、自然界の法則を見つけ出します。このプロセスが、パズルやクイズでの脳の使い方と似ているのです。

 人は脳を使って何かを発見すると、それがたとえ些細なものであっても、大きな喜びを感じます。その発見が、今まで誰にも知られていない大発見であれば、多くの人を感動させることもできます。

 発見の原動力となるのは"科学する心"、「なぜ?どうして?」という好奇心です。よく「好奇心旺盛な人は心が若い」といわれます。日々新たな発見をする人は、いつも生き生きとしていますよね。

 ただ、好奇心が旺盛なだけでは発見はできません。脳を使って、「予測」→「検証」というプロセスを経ないといけないのです。さび付いた脳ではなかなかこの「予測」→「検証」プロセスはしんどいものです。だからこそ日ごろから脳を鍛えておく必要があります。脳を鍛えれば心が若返ります。みなさんも、日ごろから脳力を鍛え、"科学する心"を大切にして、いろいろな発見をしてみてください。ヒラメキは鍛えられた脳にのみ訪れます。化学者にして有名な医学者であるパスツールの言うように「幸運は待ち受ける心にのみ訪れる」のです。2006年がみなさんにとって新たな発見に満ちた"幸運の年"となりますことをお祈りしています。


●数字パズル「ナンバープレース」: 脳を鍛える

 代表的な数字パズルであるナンバープレース(略称:ナンプレ)は、縦の列・横の列・太枠内に1〜9の数字を重複なく埋めるもので、世界的にも「SUDOKU」の名で大流行しています。
 例題を作ってみました。枠に入りうる数字を「予測」し、「検証」(数字を埋める)してみてください
 ナンプレ例題

●月を見てみよう!: 発見の第一歩は「観察」から

 月は大阪のような大都会でも簡単に見ることのできる天体です。私たちは当たり前のように月を見ていますが、地球に月がある、というのは実は当たり前のことではありません。身近な月にも多くの「なぜ?どうして?」が隠れています。晴れたときには空を見上げて、月や星を見ながら「科学する心」を楽しんでみてください。
2005年1月20日の月(科学館屋上天文台にて撮影


石坂千春(科学館学芸員)
科学館天文台活用プロジェクト:大阪でも星は見えます。科学館の天文台で撮影した天体写真を公開中です。

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