加藤賢一 データセンター
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概 要
恒星スペクトル線測定ならびに解析法を紹介する。前半の第1章では、写真乾板に記録された恒星スペクトルに見られる吸収線の等価幅を測定し、それに基づいて成長曲線を描くまでを扱い、後半の第2章では成長曲線法の理論的背景を紹介し、観測されたデータに基づいて描かれた成長曲線を理論曲線と比較することから元素量を求める。本論文の特徴の一つは、実習の要素を取り入れたことで、等価幅測定、成長曲線の作成、と順を追っていけば、最終的に種々の大気パラメータを算出することができる。例題として太陽の中性鉄の吸収線を扱い、最終的に鉄の量をlogε(Fe/H)=-4.42
と求めることができた。この値は現在もっともらしいとされている値に極めて近く、成長曲線法が元素量を求めるのに有効な手段であることが分かる。
参考文献
Hearnshaw, J.B. 1986, The analysis of starlight: one hundred
and fifty years of astronomical spectroscopy, Cambridge University Press,
Cambridge
Mihalas, D. 1970, Stellar Atmospheres, W. H. Freeman and Company, San Francisco
Unsold, A. 1938, Physik der Sternatmosph舐en, Springer-Verlag, Berlin
第1章 スペクトル線の測定
1.スペクトルのもたらす情報
夜空に光っている星々はどれも小さな光点のようにしか見えない。しかし、現代に生きる私たちはこの星々が太陽と同じような巨大な火の玉であることを知っている。星までの距離を測るのは極めてむずかしい仕事であったため、星と太陽が同種の天体であることがはっきり証明されたのはそう昔のことではなかったが、それ以前の人々も星が太陽の仲間らしいとうすうす感じていたようである。
19世紀の中頃、太陽が星の一つであることが、別の側面から明らかにされた。それは分光術が天体観測に応用され、星の光を分析することができるようになってからのことである。光を波長に分解してその性質を調べるのが分光学であり、波長に分解された光が、すなわち、スペクトルである。さまざな星のスペクトルを調べてみると、太陽と同じスペクトルを示す星々が見つかり、太陽は星の一つであることが疑いようのない事実となった。
このようにして、星の性質を調べるうえでスペクトルの分析が重要であることが知られるようになり、やがて星の分光学はスペクトル型への分類から観測・理論ともに精密さを加え、天文学の一分野としての地位を確立することになった。
一般に光を含めた電磁波を波長とその強度という二つの要素に変換することを分光と言い、分光された電磁波をスペクトルと言っている。虹の七色は可視光線のスペクトルである。現在の天体観測においても可視光はもちろん電波・赤外・紫外・X線のいずれにおいてもスペクトルの観測は天体の物理状態を教えてくれる最も重要な情報源となっている。
細い隙間(スリット)を通った太陽光線を虹の七色に分光するとたくさんの暗線が並んでいるようすが見られる。これをフラウンフォ−ファ−線、暗線、あるいは吸収線などと呼んでいる。この吸収線の波長や強さなどを調べることによって、太陽や恒星にどのような化学元素がどれぐらいあるのかといったことや、温度や圧力などの物理状態も分ってきた。では実際にどのような手続きを経て求められるのだろうか?この章では、吸収線解析の一例として太陽と恒星の可視域のスペクトル線の強度測定を行い、成長曲線とよばれるグラフを作成してみよう。
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写真1.シリウスのスペクトル写真
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写真2.カペラのスペクトル写真
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ところで図2・図3は吸収線があるため、ぎざぎざしたスペクトルになっているが、も
し吸収線の影響がなかったらどうなるだろうか。吸収線の影響をあらかじめ推定する方法
がないので、正しく見積ることはできないが、吸収線の少いところを滑らかに結んでいけ
ば、ほぼそのようなスペクトルを得ることができるだろう。このようにして引いた仮想的
な強度分布をスペクトルの連続部とよぶことにしよう。
次に、強度分布図(黒みから変換されたもの)の上でどの波長でも連続部は1の強さで
一定していると見なして規格化した分布図を作る(図4)。
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図2.マイクロフォトメ−タで描いたシリウスのスペクトル
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図3.マイクロフォトメ−タで描いたカペラのスペクトル
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写真3.大阪府科学教育センタ−にあるマイクロフォトメ−タ
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図4.スペクトルの連続部と強度記録図
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図5.等価幅の定義
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こうして黒みを入射光の相対強度分布に変換してしまえば感光乳剤の波長依存性や光学系
による吸収などの影響を考えずに済ますことができる。この相対強度分布を強度記録図
Intensity Tracing と言う。これから吸収線の強さを測る一連の作業は強度記録図の上で
行うことにする。
ここまでの準備の過程をまとめると、
スペクトルの撮影
↓
特性曲線の作成
↓
黒みの測定
↓
特性曲線を用いて入射光強度への変換
↓
強度記録図の作成
という順序になる。
いくつかの恒星についてはスペクトルの強度記録図が出版されている。章末にあげた太
陽、プロキオン、ア−クツルスのスペクトルアトラス(参考文献8)〜 10))は比較的容易
に手にはいるはずである。
3.等価幅の測定
スペクトルの強度記録図を用意したところで、吸収線の測定にすすんでいこう。まず、
並んでいる吸収線がどのような元素のどの状態で形成されたかを決めなければならない。
この作業を吸収線の同定と言う。実験室で得られた吸収線の波長と強度のデ−タをもとに、
水素やナトリウムやカルシウムなどの特徴的な強い吸収線を手掛りにしながら、同定をす
すめていく。同定の基本となるスペクトル線のデ−タ表はあまり一般なものではないよう
で、わが国の出版物には適当なものが見当たらない。参考文献11)は比較的入手しやすい
と思われる。太陽の主要なスペクトル線は長い間の研究によってほとんどが同定されてい
て、結果は参考文献12)に出ているが、この文献を新たに入手することは現在では難しい
かも知れない。本章ではすでに同定されている吸収線を扱うことにして、同定作業は省く
ことにする。
では、吸収線の強度を測ってみよう。吸収線を見ると細長いものや膨らんだもの、あるい
は底の深いものやら浅いものなど、いろいろである。スペクトル線の強度の指標としては
中心部の深さ、半値幅、面積などが使われている。その中で、本章の目的から見て最もふ
さわしいのは面積である。スペクトル線の形に関係した中心部の深さや半値幅は分光器や
感光材料による影響を受けたり、星の自転速度の大小なども効いてくる。それに反して、
面積はこのような影響をあまり受けないので、元素量を求めるような場合には強度の指標
に面積を使っている。ここでも面積を使うことにするが、ただし面積そのものではなく、
次に定義される等価幅を用いることにする。等価幅とは、図5のように、吸収線でえぐり
取られた部分の面積を、スペクトルの連続部までの高さを持つ矩形で置き換えたときの幅
のことである。「幅」とは言うものの連続部の高さはいつも1に規格化しているので面積
と同じことである。では実際に、いくつかの吸収線の等価幅を測ってみよう。
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[実習1−1]図6に示したのは太陽で観測された中性の鉄(Fe I)のスペクトル線であ
る。等価幅を測ってみよう。まず1Å幅の連続スペクトルの面積を本書の上で測り、これ
をSとしよう。次に吸収線で囲まれる部分の面積Bを吸収線が三角形とみなして測る。す
ると等価幅 Wl(mÅ、ミリ・オングストロ−ム)はB/S×1000で求められる。連続部に
近いところでは線をたどるのがむずかしいが、適当に伸ばせばよい。では以下の13本の吸
収線の等価幅を求め、それを表1に記入しよう。
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[実習1−2]次に図7を用いてプロキオンの吸収線の等価幅を同じように求め、測定値
を表2に記入しよう。
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図8.原子のエネルギ−レベル
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上の実習ではスペクトル線の形は単純に三角形と見なしたが、もちろん正しい三角形で
はない。もっと正確に等価幅を求めたい場合にはプラニメ−タ(面積計)で面積を測るか、
透明の方眼紙を重ねてその升目の個数を数えるなどすればよい。
4.成長曲線を描く
スペクトル線は原子またはイオンのなかにある電子のエネルギ−状態が変化することに
よって形成されることはよく知られている。そのエネルギ−状態はどのような値でもとれ
るわけではなく、原子に固有のある決まったとびとびの値しかとることができないことも
よく知られている。そのとびとびのエネルギ−状態をエネルギ−レベルを用いて模式的に
示したのが図8である。入射した光をレベルmにあった電子が吸収し、上のレベルnに移
る時に吸収線ができる。この時の吸収線の波長λは上下のレベル間のエネルギ−差に反比
例し
hc/λ=εn−εm (1-1)
と表わされる。ここでhはプランク定数(6.626×10-27 erg・s )、cは光速度(2.998
× 1010 cm/s)、ε は最も下の基底レベルから測ったエネルギ− (erg)である。
考えるのは中性の原子でも電離しているイオンでもよいが、ここでは便宜上鉄の中性の
原子であるとしておこう。さて、星の大気中を飛び回っているこの中性の鉄原子であるが、
全部が全部(単位体積当りの数N)波長λの光を吸収するわけではなく、レベル m に電
子が入っている状態の鉄原子(Nm 個)だけが吸収にあずかることができる。したがって、
全吸収量を知るためにはレベルmの状態の鉄がどのくらいあるかを見つもらなければなら
ない。この計算はボルツマンの法則を使って行なうことができる。
統計力学のボルツマンの法則によれば、熱平衡状態においては、εというエネルギ−状
態にある原子の数は
g exp(-ε/kT)
に比例するという。gはそのレベルの統計的重みと言われている量で、通常1〜10の整
数値をとる。Tは温度(K)、kはボルツマンの定数(1.3807×10-16 erg/K)である。
そして二つのレベルmとnにある原子数の比は
Nn gn
-----= -----e^-χ/kT (1-2)
Nm gm
となる。ここで χ=εn−εm である。
またレベルmにある原子の数Nm は、原子全体の数をNとすると
Nm gm
-----= -------e^-χm/kT (1-3)
N U(T)
と書ける。χm は基底レベルから測ったレベルmまでのエネルギ−で、これを励起ポテン
シャルという。U(T) は分配関数と呼ばれていて、g exp(-ε/kT)を全てのレベルについ
ての和をとったものである。すなわち
U(T)= Σ g(i) e^-ε(i)/kT
(1-4)
i
上の(1-3)式に定数を代入し、対数化すると
log (Nm / N) = log gm − log U(T) − χmθ (1-5)
ただし、
θ=5040/T (1-6)
である。ボルツマンの式で本質的に重要なのは指数関数で効いてくるe^-εm/kT、つまり
χmθ という項である。
こうして吸収に関与する鉄原子の割合が計算されたが、吸収線強度を知るためにはも
う一つのステップが必要である。それは、そのレベル自身の吸収能力を考慮することで
ある。たとえレベルmに電子があっても、そのレベルがしっかり電子を押さえ込んでな
かなか離さないような性質があれば、入射光はあまり吸収されない。したがって、吸収
線は弱いということになる。このような吸収能力、すなわちレベル間の電子の遷移確率
は、通常、振動子強度という量で表現されている。振動子強度の値fは実験や理論的計
算から求められている。また、ボルツマンの式に表れている統計的重みとこの振動子強
度の積をgf値と呼んでいて、吸収能と言えばgf値を指すことが多い。
以上で見たように、吸収線の強さは吸収源の数と1原子当りの吸収能で決ってくる。
別な表現をすれば、χmθとgf値で決まるということである。そこで、
log gfλ - χmθ を横軸に、等価幅を波長で規格化した log (W /λ)を縦軸にとっ
て両者の関係を図示してやると、両者の関係が明瞭に見えてくるはずである。このよう
にして作られたグラフは成長曲線とよばれている。なぜこれが成長曲線という名称でよ
ばれているかは次章で分るだろう。
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[実習1−3]実習1−1で測定した等価幅W (mA) の値を用いて太陽の
中性の鉄の成長曲線を描いてみよ。温度はT=5300Kとせよ。gf値と励
起ポテンシャルχm (単位は電子ボルトeV、1eV=1.602×10-12 erg )
は以下に与えておく。
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表1.太陽のデ−タ
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λ(A) W (mA) χm(eV) log gf log (W /λ) log gfλ-χmθ
-------------------------------------------------------------------
4045.83 1.48 +0.28
4071.75 1.60 -0.02
4132.07 1.60 -0.63
4187.05 2.44 -0.55
4206.70 0.05 -3.79
4271.78 1.48 -0.16
4389.26 0.05 -4.58
5232.95 2.93 -0.18
5332.91 1.55 -2.94
5543.95 4.20 -1.14
5586.77 3.35 -0.20
5618.65 4.19 -1.38
6400.02 3.59 +0.07
6733.16 4.62 -1.55
-------------------------------------------------------------------
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[実習1−4]実習1−2で測定した等価幅 W (mA) の値を用いてプロキ
オンの中性鉄の成長曲線を描いてみよ。温度はT=5800Kとせよ。実習 1
−3で作った太陽の成長曲線と並べてみるとよい。
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表2.プロキオンのデ−タ
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λ(A) W (mA) χm(eV) log gf log (W /λ) log gfλ-χmθ
-------------------------------------------------------------------
4045.83 1.48 +0.28
4071.75 1.60 -0.02
4132.07 1.60 -0.63
4187.05 2.44 -0.55
4206.70 0.05 -3.79
4271.78 1.48 -0.16
4389.26 0.05 -4.58
5232.95 2.93 -0.18
5332.91 1.55 -2.94
5543.95 4.20 -1.14
5586.77 3.59 +0.07
6733.16 4.62 -1.55
-------------------------------------------------------------------
参 考 文 献
1)西村・海部編、現代天文学講座11 「宇宙の観測T」、1981年、恒星社厚生閣
2)森本編、現代天文学講座13 「天体観測セミナ−」、1980年、恒星社厚生閣
3)清水編 アストラルシリ−ズ7 「太陽観測」 1983年 恒星社厚生閣
4)伊東・西城編 「工作による天体観測」 1984年 共立出版
5)黒田著 アストラルシリ−ズ11「天文教室I」1983年 恒星社厚生閣
6)山下・成相・乗本著 「代表的恒星のスペクトル・アトラス」、1977年、東京大学出版会
7)冨田編 アストラルシリ−ズ9 「天体写真」、1985年、恒星社厚生閣
8)R. L. Kurucz, I. Furenlid, J. Brault, and L. Testerman:
National Solar Observatory Atlas No. 1, Solar Flux Atlas from 296 to 1300nm, 1984,
National Solar Observatory, Sunspot, New Mexico 88349, U. S. A.
9)R. & R. Griffin:A Photometric Atlas of the Spectrum of Procyon
λλ3140-7470 A", 1979, R. & R. Griffin, The Observatory,
Madingley Road, Cambridge CB3 0HA, England
10)R. F. Griffin : "A Photometric Atlas of the Spectrum of Arcturus
λλ3600-8825 A", 1968, Cambridge Philosophical Society, Cambridge, England
11)W. F. Meggers, C. H. Corliss, and B. F. Scribner : "Table of Spectral-Line Intensities,
Part I and II, NBS Monograph 145, 1975, U. S. Government Printing Office, Washington, D. C.
12)C. E. Moore, M. G. J. Minnaert, and J. Houtgast : The Solar
Spectrum 2935 A to 8770 A", NBS Monograph 61, 1966,
U. S. Government Printing Office, Washington, D. C.
第2章 成長曲線法による元素量解析
1.励起温度
この章では、吸収線の等価幅をもとに作られた成長曲線から、太陽に含まれている鉄原
子の数密度を求めることにしよう。ここで紹介するのは、ごく簡略化された一方法であっ
て、決して典型的な手法ではないことを初めにことわっておく。
前の章で見たように、吸収線の強さは原子の吸収能、励起ポテンシャル、大気の温度、
吸収源の数密度などに影響されていて、これらの量がある値に設定されるとそれに応じて
強さ=等価幅が決る、という性質を持っている。この性質を逆に使えば、観測された吸収
線の等価幅から吸収源の量を知ることができる。そのためには、吸収源の数は別として、
他に必要な物理量を何らかの方法で求めなければならない。そのうち原子の吸収能などは
実験などからあらかじめ分っている定数であるが、温度や密度などはそうではない。前の
実習で使った太陽の温度 5300Kはどのようにして決められたのだろうか?では、手始め
にこの温度を求めることを考えてみよう。
温度θ(=5040/T)は成長曲線の横軸に log gfλ - χmθという形ではいっているが、
これが今のところ分らない。そこで、θとして適当な値をいくつかとってみて成長曲線を
描いてみよう。前章の実習のデ−タはあまりにも少なく全体の特徴がはっきりしないので、
もっとたくさんのスペクトル線の観測値を使いたい。次の表1に、太陽の中性鉄の400本の
吸収線のデ−タを用意した。これを前の実習と同じようにそれぞれについて log (W /λ)
と log gfλ - χmθ を計算して描いた成長曲線が図1である。
温度のとりかたによって分散がずいぶん違っている。4500Kや6000Kではばらつきが大き
く、5100Kから5400K(θ=0.93 〜 0.99)の間に散らばり具合が最小になる温度がある
ようだ。多少の 昧さが残るが、ここでは散らばりが最小になる時の温度としてT=5300K、
θ=0.95を採用することにしよう。成長曲線法ではこのようにして試行錯誤をくり返して得
られた温度を吸収線が形成される大気の温度と見なし、励起温度とよんでいる。こうすると
励起ポテンシャルが異なるいろいろな吸収線を一つの系列に乗せることができる。成長曲線
から元素量を求めるための第一歩はこの励起温度を決めることである。
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表1. 太陽の Fe I のデ−タ。波長、励起ポテンシャル、等価幅、gf値
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図1. いろいろな励起温度に対する成長曲線.
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図2.連続吸収係数を計算するFORTRANプログラムの一例.
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2.理論的な成長曲線
(1)吸収のシミュレ−ション
中性鉄 Fe I のスペクトル線は、星の深部から発した光が星の外層部にある気体状になっ
た中性の鉄原子に吸いとられてできたものである。鉄が多ければ吸収量は増すであろうし、
温度が高ければ中性の鉄は減ってしまうし、まわりにある水素原子なども吸収量に影響する
かもしれない。こういった大気の中で起きているミクロな現象を考慮して、光の伝達のよう
すを追いかけていけば吸収線の強さ、ひいては成長曲線を計算することができる。しかし、
ここではその詳細については触れる余裕はないので、章末の参考文献1)〜4)をご覧いた
だきたい。
(2)幅を持っている吸収線
恒星の吸収線の特徴の一つは、実験室で見られる吸収線に比べてかなりの幅を持っている
ことである。これは恒星大気と実験室では環境が大きく異なっていることが原因と考えられ
る。恒星はまず温度が極端に高く、原子は激しい運動状態にさらされ、またさまざまな元素
が混然一体となって互いに力を及ぼしあっている。そのうえ大規模、小規模の乱流なども渦
巻いている。このような環境下では、実験室ならば吸収しないような波長の光も吸収してし
まい、そのため幅を生じるのである。これは見かけ上、その元素が大量に含まれていること
に相当する。したがって、解析の際にこのような影響を考慮しておかないと元素量の推定を
誤ってしまう。 吸収線が広がるメカニズムを整理しておこう。
一つは熱運動や乱流によるドップラ−効果である。この効果は主としてスペクトル線の中
心部に近いところに現れていて、その吸収係数はガウス分布型で広がっている。
二つ目の原因は減衰効果と呼ばれるもので、主として周囲にある原子(特に水素原子)や
自由電子の影響によって広がるものである(衝突減衰)。したがって、これは周囲に原子や
電子が多いほど強く影響が出るという性質を持っている。太陽のような星の場合、衝突減衰
としては中性の水素原子の効果だけを考えれば充分である。その減衰係数Γは
Γ ≒ 17 C^(2/5) ξ^(3/5) NH (2-1)
である。ただし
C =[13.6/(χ0 - χm)]^(2)×10^(-32) (2-2)
と表わされている。ここでξは考える元素の速度(km/s)、NH は中性の水素原子の数
密度(個/cm3)、χ0 はその電離ポテンシャル(eV)、χm は励起ポテンシャル(eV)
である。
(3)線吸収係数
吸収線の強さは吸収源の数Nと考えている原子の吸収能fでほぼ決るが、そのほかに
以上のような効果が加わることになる。このような効果をそれぞれ考慮して、原子が光を
吸収する能率として線吸収係数が求められる。それをκmnと書いてレベルm→nの遷移
を考えると
πe^2
ξ
κmn = ------- --- f nm H(a,v) (2-3)
mc λ
となることが知られている。eは素電荷(単位はesu系、4.80×10-10)、mは電子の
質量(9.11×10-28 g)、nm はレベルmにある原子の数密度、 最後の H(a、v) は熱運動
や減衰効果による吸収線の広がりの輪郭を表わす関数でホ−クト Voigt 関数と言われて
おり、次のように定義されている。
a ∞ exp(-y^2)
H(a,v) =----- ∫ ------------------------------- dy (2-4)
π -∞ (v - y)^2 + a^2
ここで
v ≡ Δλ/ΔλD a ≡ Γλ^(2)/(4πcΔλD) (2-5)
ΔλD ≡λξ/c
cは光速度、λは吸収線の波長、Δλは吸収線の中心から測ったある波長点までの長さ、
Γは減衰係数である。ΔλD は原子が運動していることによる波長のずれ、つまりドップ
ラ−幅を表わしている。
(4)連続吸収係数
上では光の吸収源として原子の線吸収だけについて見てきたが、考えている原子のまわ
りある他の原子(特に水素原子と水素負イオン)も吸収源としてはたらいている。それは
連続吸収係数κC として表わされている。これについても詳しく紹介する余裕がないので
図2に中性の水素原子と水素負イオンの連続吸収係数を計算するプログラムを一例とし
て示すだけにとどめる。吸収係数が階段状に変化することや水素の負イオンがかなり寄
与することなどを確かめてほしい。プログラムは FORTRAN で書いているが BASIC へ移
植するのは容易であろう。もっとも、この連続吸収係数を計算するにはまだ求められてい
ない大気の密度や電子の数密度などを準備しなければならない。それについては次の項
で考えることにしよう。
(5)理論的な曲線
以上のような吸収の影響を入れ、深部からやってきた光がどの程度吸いとられるかを計
算し、その結果を等価幅W で測ったものが理論的な成長曲線である。これはηo の関数
として次のように与えられている。
W ∞
ηo
------- = ∫ ---------------- dv
(2-6)
ΔλD 0 1+ηo H(a,v)
なおηo はηo H(a,v) が線吸収係数と連続吸収係数の比 κmn/κc となるようにとった
変数で、(2-3)式から
πe^2 f nm ξ
ηo = ----- ------ --- (2-7)
mc κC λ
である。
表2.理論成長曲線
---------------------------------------
log a
log ηo ---------------------------
-1 -2 -3
---------------------------------------
-2.0 -2.05 -2.06
-2.06
-1.5 -1.56 -1.56 -1.56
-1.0 -1.07 -1.08 -1.08
-0.5 -0.62 -0.64 -0.64
0.0 -0.24 -0.27 -0.27
0.5 0.04 -0.01 -0.01
1.0 0.25 0.16 0.15
1.5 0.43 0.28 0.25
2.0 0.62 0.37 0.33
2.5 0.84 0.49 0.39
3.0 1.07 0.64 0.45
3.5 1.31 0.84 0.53
4.0 1.56 1.07 0.66
4.5 1.79 1.31 0.85
5.0 2.02 1.55 1.07
5.5 2.27 1.77 1.31
6.0 2.48 1.98 1.55
6.5 2.66 2.16 1.77
---------------------------------------
aが 0.1、 0.01、0.001の三つの場合について(2-6)式を実際に計算した結果を表2
と図3に示した。ホ−クト関数も理論的な成長曲線の式も積分範囲が無限大になってい
るが、これを適当な有限値で置き換え、シンプソンの公式を使って数値積分したもので
ある。これはぜひ確かめてほしい。
-----------------------
図3.理論的な成長曲線.
-----------------------
図3を見ると、aによる違いは等価幅の大きい強いスペクトル線に表れていることが
よくわかる。aは(2-5)式を見れば分るように、減衰効果を表わしている。つまり、減
衰効果は弱い線ではあまり効かず、強い線で大きくでているのである。したがって、減
衰効果の影響を調べるときには、強いスペクトル線を測定しなければならないし、弱い
線では減衰効果を気にしなくともよい、ということになる。
ところで図3の理論曲線の横軸は(2-7)式のηo で目盛っている。変数ηo には吸収
源の数が含まれているから、図3は吸収源の数を徐々に増やしていった時に等価幅がど
のように大きくなっていくかを表わしていると見ることができる。成長曲線とよばれて
いるのはこのためである。
3.理論曲線との重ね合わせ
こうして観測から求めた成長曲線と理論曲線がそろったところで、解析の第二段目へ移
っていく。それは二つの曲線を重ね合わせ、うまく両者が合致するように互いにずらして
いくことである。理論曲線を薄手の半透明用紙に写しとり、観測から求めた成長曲線にの
せてやればよい。そしてその場合の縦軸と横軸の座標のズレを読み取ることにしよう。最
もよく合うところを見つけるのであるが、実際にやってみるとなかなか難しい。いま扱っ
ている太陽の中性鉄の場合、縦が -5.2、横が 10.2 といったところであろうか。一例とし
てこの値を採用しよう。
(1)縦軸の差 − 小規模乱流
観測から求めた成長曲線と理論曲線では、縦軸も横軸もスケ−ルのとり方が違っている。
縦軸方向の差は(2-5)式を考慮すると
log (W /λ) - log (W /ΔλD) = log (ξ/c) (2-8)
である。つまり縦軸の差は速度場を表わしている。縦軸のズレ log(ξ/c) はここでは
-5.2 であるから、ξ=1.9km/sとなる。
ところで原子はその温度に応じた熱運動をしている。その速度vは運動エネルギ−の式か
ら
v^2 =2kT/M
(2-9)
と求められる。kは前にも出ていたボルツマン定数、Mは考えている原子の質量である(鉄
ならば質量数 55.8 に原子質量単位 1.661×10-24gを掛けた値 9.23×10-23 gを使えば
よい)。このTに励起温度 5300Kを代入して計算すると、vは1.3 km/sにしかならない。
これは縦軸のズレからわかったξ=1.9km/sとやや異なっている。この差は、熱運動だけで
は説明のできない別の速度場があることを意味している。それを
小規模乱流 Microturbulece
と名づけてその速度をξt と書くことにし、ここでは次のように定義する。
ξ^2 =v^2 +ξt^2 (2-10)
こうして今の場合、ξt = 1.4 km/s という値が得られる。
(2)横軸の差−元素量
では次に観測から求めた成長曲線と理論曲線の横軸の差について考えてみよう。理論曲線
では横軸に log ηo を採っているが、ηo はすでに(2-7)式で定義されているとおりであ
る。ここには吸収にあずかる原子の数密度nm がはいっている。前章の終りで見たように、
吸収に関与するのは中性鉄の全部ではなく、そのうち励起ポテンシャルχm のレベルまで励
起されている原子だけである。その割合はボルツマンの法則(1-3)式を使って求めることが
できるのでnm にこれを適用して ηoを書き直してやると
log ηo = -1.824 + log N + log gfλ - χmθ - log ξU(T) - log κC (2-11)
となる。
N はこの場合には中性の鉄原子全体の数密度である。
観測から作られた成長曲線では横軸にlog gfλ - χmθをとっていたから、理論曲線との
横軸の差 log C は(2-11)式からこれを引いて
log C = -1.824 + log N - log ξU(T) - log κC (2-12)
ということになる。
横軸の差 log C と速度場の値ξは既に分っているので、分配関数 U(T) と連続吸収係数
κC を知ることができれば、中性の鉄の原子数密度 N を、ひいては鉄全体の含有量が決って
くる。
(3)分配関数
表2に主要な元素の分配関数と電離ポテンシャルの値を掲げておいた。分配関数は温度の関
数であるが、その値は表にあるように依存性はそれほど大きなものではない。
(4)水素原子の数密度
さきに成長曲線を重ね合わせみて分ったように、観測された曲線の右上の減衰部はlog a
が -1 と -2 の曲線の間に伸びている。log a = -1.7 とでもとればまずまずといったとこ
ろである。こうして二つの曲線を比較すると、aを決めることができる。値aが決まれば(2-5)
式から減衰係数Γが求まる。さらに、それは中性水素の衝突減衰によると仮定すると(2-1)式を使うことができ
て、最終的に中性の水素原子の数密度NH がわかってくる。式(2-2)の励起ポテンシャルとし
ては2 eV ぐらいをとればよいだろう。実際に数値をあたってみると、NH = 1.45×1017
個/cm3 ぐらいになっている。
表2.主な元素の分配関数 log U(T) と電離ポテンシャルχ0(eV)
分配関数は温度θ(=5040/T)が1と2のときの対数値
-------------------------------------------------
中性原子 一階電離イオン
元素 ----------------------------------- χ0
θ= 1 2 1 2
-------------------------------------------------
1 H 0.30 0.30
0.00 0.00 13.60
6 C 0.97 1.00 0.78 0.78 11.27
7 N 0.61 0.66 0.95 0.97 14.53
8 O 0.94 0.97 0.60 0.61 13.62
11 Na 0.31 0.46 0.00 0.00 5.14
12 Mg 0.01 0.14 0.31 0.31 7.64
14 Si 0.98 1.04 0.76 0.77 8.15
20 Ca 0.07 0.48 0.34 0.54 6.11
21 Sc 1.08 1.46 1.36 1.50 6.54
22 Ti 1.48 1.83 1.75 1.91 6.82
23 V 1.69 2.01 1.64 1.83 6.74
24 Cr 1.01 1.38 0.86 1.07 6.77
25 Mn 0.81 1.07 0.89 1.02 7.43
26 Fe 1.42 1.65 1.61 1.73 7.87
27 Co 1.50 1.73 1.44 1.63 7.86
28 Ni 1.46 1.58 1.00 1.27 7.65
29 Cu 0.36 0.58 0.01 0.18 7.73
56 Ba 0.36 0.92 0.62 0.85 5.21
-------------------------------------------------
(5)サハの電離式
恒星の大気のような高温の状態では原子の相当部分が電離しており、中性の原子はそれだけ
少なくなっているに違いない。いま考えている鉄原子がもし90%電離していたならば、残り
10%の中性の鉄だけが吸収源として働く可能性をもっている。こうした電離状態を見積るのが
サハの電離式である。iとi+1の二つの電離状態を考え、それぞれの状態にある元素の数密
度をNi とNi+1 と表わすことにしよう。すると、
Ni+1 Pe ( 2πm )^(3/2)( kT )^(5/2)
2Ui+1
-----------= -------------------------- ------- e^(-I/kT) (2-13)
Ni h^3
Ui
となるというのがサハの電離式である。Iは電離ポテンシャル(erg)、h は プランク定数
(6.63×10-27 erg・s)、m は電子の質量(9.11×10-28 g)、U は分配関 数、Peは電子圧で、
neを電子の数密度とすると Pe = nekT (dyne/cm2) となる。定数を代入して対数化すると
log (Ni+1 Pe/Ni)=(-5040×χ0/T) + 2.5log T - 0.48 + log 2Ui+1/Ui
(2-14)
である。なおχ0 は電子ボルト(eV)で表わした電離ポテンシャルである。
--------------------------------------------------------------------
[実習2−1] 太陽の大気中で、中性の鉄と一階電離した鉄はどの位の
割合で存在しているかを求めてみよう。T= 5300K、電子の数密度 ne は 6×1012個/cm3 とする。
--------------------------------------------------------------------
サハの電離式を解くには、まだ求められていない電子圧、あるいは電子の数密度を与えなけ
ればならない。これを決めるために、ここでは簡単に次のように考えよう。太陽にある元素の
ほとんどが水素とヘリウム(数密度は水素が 93.9%、ヘリウムは 5.9%、他の重元素は
0.2%)であることからすれば、大気中を飛びまわっている自由電子の供給源は水素である、
と仮定してもよかろう。すると、電子の数密度 ne は電離している水素原子の数 N1 に等しい
とおける。したがってサハの電離式を水素原子に適用して計算すれば、電離している水素原子
の数、つまり電子の数密度が求まるであろう。そこで、NH を上で求めた中性水素の数密度と
して計算してみると
log ( N12 / NH )= 8.34
すなわち、N1 と ne は 5.6×1012 となる。
なお、これは電離していない中性の水素原子の1%未満であって、意外にも太陽では水素は
ほとんど電離していないのである。これは水素の電離ポテンシャルが 13.6 eV と鉄などより
も高いからである。ぜひ上の実習で計算した鉄の電離度と比べていただきたい。
(6)確定された物理量
これだけの情報がそろえば連続吸収係数κC を計算することができる。代表的な波長として
5000 A をとってみると物質1cm3 あたりの吸収係数は
log κC = -7.78
ほどになる。
以上のように、いくつかの手続きを経た結果、(2-12)式の未知数をすべて決めることができ
た。そして、いよいよ最終的に残った中性の鉄の数密度(個/cm3 )は
log N = log C + 1.824 + log ξU(T) + log κC
= 10.2 + 1.824 + 6.97 - 7.78
= 11.21
すなわち
N = 1.6 × 1011 個/cm3
と得られる。
ところで、鉄の電離状態をサハの式で調べてみると、電離度は97%にも及び、中性の鉄はわ
ずか3%に過ぎないことがわかる。したがって、中性の鉄と電離している鉄(ただしここでは
一階電離だけを考えている)の両者を含めた鉄の総量はこの N を 0.03 で割った値、すなわ
ち
N(Fe) = 5.5 × 1012 個/cm3
ということになる。これでようやく、目的とした太陽にある鉄の含有量を決定することができ
た。
ついでにいくつかの物理量も求めておこう。
さきに大気の主成分として水素とヘリウムを考えたが、ヘリウムは水素の6%ほどあった。
ガス圧Pg (dyne/cm2)には水素原子の数と共にヘリウムの寄与も入ってくるから、両者を
加えて
Pg = ( NH + 0.06×NH )×kT
= 1.1×105
となる。これに比べて電子圧は圧倒的に小さい。
ヘリウムは水素の4倍の質量を持っているために質量密度には相当大きい影響がある。そこ
で原子1個あたりの平均の質量数μを考えると、
μ = ( 1 + 4×0.06)/(1 + 0.06) = 1.17
となる。質量密度ρはこれに( NH + 0.06×NH )と1質量数あたりの質量(原子質量単位)
1.661×10-24 g を掛けて得られる。すなわちρ=3.0×10-7g/cm3である。
4.鉄は水素の10万分の4
求められた鉄の量を水素原子の数と比較してみよう。水素はほとんど電離していないことが
分っているから、水素原子の総数は中性水素の数に等しいと思ってよい。これは 1.45×1017
個/cm3 であった。そこで水素原子の数との比をε(Fe)と書くと
ε(Fe) = 3.8×10-5
log ε(Fe) = -4.42
となる。鉄の含有量は水素のおよそ10万分の4というわけである。
現在の詳しい解析によれば太陽の微小乱流速度は 1km/s あたりがもっともらしい値と言わ
れている。ここで得られたξt = 2.7 km/s は少々大きい。
もっとも励起温度をもう少し低
めにとればこれも小さくなってくる。また鉄の含有量は log ε(Fe) = -4.42 という結果で
あるが、現在採用されている太陽の鉄の値は -4.33 ± 0.03である。
では最後に、ここでの実習で得られた値と現在採用されている値を比較しておこう。ここで
の実習はその性質上、簡略化した取り扱いをしており、厳密性に欠けることは否めないが、そ
の結果はこの通りである。
表3.結果のまとめと比較
----------------------------------------------------------
本実習 理科年表、他
----------------------------------------------------------
励起温度 5300 4600 〜 5600
微小乱流速度 km/s 1.4 1.0
ガス圧 log Pg 5.0 5.1
水素原子の数密度 log 17.2 17.2
質量密度 g/cm3 3.0×10-7 2.7×10-7
鉄の含有量 log -4.42 -4.33
----------------------------------------------------------
------------------------------------------
表4.ペルセウス座アルファ星の Fe I のデ−タ
------------------------------------------
-----------------------------------------------------------------
[実習2−2] 表4にペルセウス座アルファ星(F5 Ib)の Fe I の吸収線のデ−タがある。これを使ってこの星の鉄の含有量を計算し、太陽と
比べてみよう。
-----------------------------------------------------------------
参考のため、実習2−2の成長曲線を最後に掲げておく。ばらつきが大きく、どれが最良か、
判別に苦しむ。この表4のデ−タはカナダのドミニオン天文台の180cm望遠鏡で撮られた
スペクトル写真から測定したものである(参考文献5)。やや年代は古いが、スペクトル線観
測から有用な情報を得ることが決して容易ではないことが分かるだろう。いかに質の良い、高
分散のスペクトルを得ることができるか、それが、恒星分光学の観測面の大きな課題となって
いる。
参考文献
1)小尾・古在・守山著 「太陽系」、1976年、共立出版
2)ギブソン著、桜井訳 「現代の太陽像」、1978年、講談社
3)ウンゼルト著、小平訳 「現代天文学」、 1978年、岩波書店
4)小平編 現代天文学講座6 「恒星の世界」、 1980年、恒星社厚生閣
5) K. O. Wright: Publ. Dominion Astrophys. Obs. 8, 1., 1948
終章 あとがき
筆者が大阪市立電気科学館に就職したのは1974年であった。その翌年、職場の先輩で
あった黒田武彦氏(現・兵庫県立西はりま天文台)との話の中で、「スペクトル線の測定や
解析は実際のところどうやったらいいのだろう」という話題が持ち上がった。二人とも学
生時代にそれに類することを聞いていたはずだったが、分光写真からスペクトル線の強度
を求め、何がしかの情報を得るという、その実際の手続きや方法については知らなかった
のである。そして、「わが国にはこのあたりのことを解説した書物がないではないか」と
いういつもの愚痴めいた話が出て、「では一度、片平さんに聞いてみよう」ということに
なった。 その頃、堺市科学教育研究所に片平順一氏が着任したばかりであった。片平氏は岡山天
体物理観測所で得られたスペクトル写真の解析を行ない、すでにいつくかの論文を書いた
り、学会発表を行なっていた。この方面には詳しい人である。そこで、機会を見つけて聞
いたのだが、「そんなの何ということもないよ」というような答えで、簡単にあしらわれ
てしまい、どうもよく分からぬままに終わってしまった。その頃は、恒星分光学に特に興
味があったわけでもなく、それ以上追求することもなかった。
それからしばらくして、片平氏から星風の勉強をしないかという提案があった。氏はウ
ォルフ・レイエ星やBe星のような広がった大気を持った高温星を専門としており、そのよ
うな星からは強い放射場の影響で大気の一部が吹き飛ばされることがある。どのような条
件ならばそうなるのか調べようというという意図であった。筆者はまったく不案内であっ
たから、いくつか関係する論文を読むところから始めたが、自分がいかに不勉強であった
か、つくづく思い知らされることになった。星の内部からの光で大気が飛ばされるのであ
る。どのような性質の光がやってくるのか、強度やスペクトルがどうなっているか、それ
が分からなくては話にならない。では、放射分布を求めるにはどうすればよいか?こうし
た分野を勉強していたはずであったが、さっぱり身についていなかったのである。星風の
問題にかかる前に、基本的な恒星大気の勉強を改めてしなければならない、ということに
気づいた次第であった。
恒星大気の問題は、天体物理学という用語と同一視されるくらい関係の深い学問分野で
あった。特に1950年代までは確かにそうであった。そんなわけで、教科書とされるような
書籍もあって、比較的容易に学ぶことができた。
次は、教科書に書かれている内容を実際に計算することである。それは恒星大気の物理的
な構造を理論的に求めようという試みで、言い換えれば大気モデルを計算機用プログラム
として構築することである。大気層の深さの関数として温度、密度、輻射の流れなどを求
めるのである。理論的背景はできているから、後はプログラミングである。アンダ−ヒル
だったか、ハックだったかが、恒星の研究者はすべからく自ら作ったモデル大気を用いる
べし、というようなこと書いていたのを真に受けて、プログラム作成にかかった。
しかし、これは無謀な計画であった。プログラムをかける計算機がなかったからである。
だが、こんな時、大都市は便利である。調べてみたら、近くに計算機を賃貸しする会社が
いくつもあったのである。筆者が選んだ会社は10秒間のCPU使用料が700円、その他、
カ−ド読み込み代やプリント代などの経費が加算されるが、ともかくそこへいけばカ−ド
穿孔機がおいてあって作業ができる。おまけに夜9時までやっている。勤務を終えてもか
なりの時間を充てることができた。まだパソコンが登場する以前のことであり、卓上で
FORTRANが走ることなど夢想だにできぬ時代であった。
エラ−を重ねながらも、一応、アブレット・クルックの温度補正ル−チンも仕上がって、
何とか格好がついたかなと思った頃、ケンブリッジ大学天文台のグリフィン夫妻がプロキ
オンのスペクトル・アトラスを出版した(1979年)。長年に亘ってウェルソン山天文台の
2.5b望遠鏡で撮影したスペクトル写真をもとに作成した大作である。これはちょうど良い。
できかったプログラムが働く番である。 天王寺の大阪教育大学の天文研究室にはその頃もお世話になっていた。ここには文献が
豊富に揃っており、プログラム作りには欠かせぬ資料があるからである。そんなある日、
プロキオンのスペクトル・アトラスを注文したという話を定金晃三氏にしたところ、それ
ならプロキオンの吸収線の解析をやらないか、という話になった(結果は1982年、1986
年に発表)。定金氏はすでにA型特異星(Ap星)の分光解析では世界的に著名で、その頃
はベガの再解析を行なって金属欠乏星であることを示すという大ヒットを飛ばし、正常星
にも関心を持っていた。 Ap星の異常性を正確に把握するには正常星の性質をおさえてお
く必要があると考えていたのであった。
こうして筆者は吸収線の解析に手を染めることになり、黒田氏と分からないと話しあって
いた問題と正面から向き合うことになった。この時の解析には定金氏が用意していたクル
ズの作成した大気モデルを用いた吸収線強度解析プログラムを用いることになった。これ
は、筆者が作成していたプログラムなどまったく足元に及ばぬほど精緻な、かつ膨大な内
容を含んでおり、すでにスペクトル線解析用プログラムとして世界の標準として多くの研
究者に使用されていた。こうして数年間に亘って作成してきた筆者のプログラムは何の結
果も出さぬまま、お蔵入りとなった。
こうして、モデル大気を用いた細密解析法による解析が始まったが、筆者は粗解析とも言
われる成長曲線法も合わせて採用した。実は、成長曲線法を測定デ−タの良否を判定する
のに補助的に用いたところ、ずいぶん便利なことが分かったからである。成長曲線を描い
てみると、系列からはずれている線が見つかることがある。それらは大抵測定が悪かった
り、線がブレンドしていたり、物理データがおかしかったりするのである。そうしたこと
が視覚的に見当がつくのが便利なところである。このあたりのことについては小林英輔氏
(当時・大阪府科学教育センタ−、現・大阪府教育センタ−)にお教えていただいたこと
が多かった。
このような背景があってできあがったのが本論文である。当初、ある実習書のために用意
したのであるが(1986年)、出版のめどが立たず今日まで経過してしまった。この間に、
天文台の受光装置は写真からCCDなどの固体撮像素子にとって代わり、本論文の内容はす
っかり古くなってしまった。
なお、以上記した方々の他に、横尾武夫氏(大阪教育大学)、近藤雅之氏(元・東京大
学東京天文台)には文献の閲覧や複写等でお世話になった。また、京都大学宇宙物理学教
室と東北大学天文学教室にも文献ではお世話になっている。合わせて御礼申し上げたい。
表1.太陽の Fe I 吸収線のデータ.波長、励起ポテンシャル、等価幅、gf 値
--------------------------------------------
λ(Å) χ(eV) EW(mÅ) log gf Ref
--------------------------------------------
4041.91 3.30 10 -3.09 RZ
4044.62 2.82 131 -1.01 F
4045.83 1.48 1174 0.28 B
4049.34 2.58 39 -2.49 GK
4062.45 2.83 108 -0.77 F
4063.61 1.55 924 0.08 F
4065.39 3.42 54 -1.23 F
4067.99 3.20 170 -0.42 F
4070.78 3.23 98 -0.77 F
4071.75 1.60 721 -0.02 B
4079.85 2.85 74 -1.26 F
4082.12 3.40 43 -1.61 GK
4084.50 3.32 148 -0.58 F
4085.32 3.23 141 -0.69 F
4087.10 3.32 72 -1.43 GK
4091.56 2.82 54 -2.27 GK
4100.75 0.86 99 -3.18
4107.50 2.82 137 -0.72
4114.45 2.82 91 -1.15
4126.86 2.83 36 -2.47
4132.07 1.60 375 -0.63 F
4132.91 2.83 110 -0.85
4133.86 3.35 114 -1.23 F
4136.53 3.35 59 -1.61 GK
4139.94 0.99 69 -3.63
4141.87 3.01 51 -2.02 GK
4143.88 1.55 415 -0.44 F
4147.68 1.48 138 -2.10 B
4156.81 2.82 186 -0.61
4174.92 0.91 148 -2.97 B
4175.65 2.83 119 -0.66
4182.39 3.00 93 -1.12
4187.05 2.44 238 -0.55 B
4191.69 2.85 71 -1.35
4194.49 2.73 17 -3.37 RZ
4202.04 1.48 377 -0.71 B
4206.70 0.05 154 -3.79
4216.19 0.00 133 -3.36
4222.22 2.44 174 -0.97 B
4233.61 2.47 212 -0.60 B
4235.95 2.42 339 -0.34 B
4241.12 2.82 37 -2.63 GK
4247.43 3.35 187 -0.22
4250.13 2.46 279 -0.41 B
4250.80 1.55 295 -0.69
4260.49 2.39 535 0.04
4271.17 2.44 330 -0.35 B
4271.78 1.48 604 -0.16 B
4276.68 3.87 43 -1.14
4281.59 2.45 7 -4.12 RZ
4282.41 2.17 169 -0.76
4319.45 2.61 14 -3.61 RZ
4325.78 1.60 564 0.00
4337.06 1.55 185 -1.70 B
4347.24 0.00 29 -5.50 B
4352.75 2.21 181 -1.19
4365.91 2.98 28 -2.34 GK
4375.95 0.00 176 -3.03 B
4383.56 1.48 960 0.20 B
4389.26 0.05 60 -4.58 B
4392.30 3.55 9 -2.98 RZ
4404.76 1.55 745 -0.14 B
4413.39 4.07 8 -2.56 RZ
4415.14 1.60 353 -0.62 B
4427.32 0.05 211 -3.04 B
4430.62 2.21 143 -1.66 B
4439.64 3.05 19 -3.06 RZ
4439.89 2.27 30 -3.00 B
4442.35 2.19 182 -1.26 B
4447.73 2.21 163 -1.34 B
4485.97 3.65 18 -2.52 RZ
4489.75 0.12 78 -3.97 B
4494.58 2.19 188 -1.14 B
4504.21 3.96 2 -3.35 RZ
4504.84 3.25 35 -2.20
4517.54 3.06 54 -1.77
4528.63 2.17 256 -1.45 B
4543.22 3.64 3 -3.39 RZ
4546.47 4.19 6 -2.57 RZ
4551.65 3.94 25 -2.07 RZ
4556.93 3.25 26 -2.67 RZ
4566.03 4.47 1 -3.30 RZ
4593.53 3.94 28 -2.00
4602.01 1.60 71 -3.15 B
4602.95 1.48 131 -2.22 B
4607.09 3.41 3 -3.59 RZ
4625.05 3.23 115 -1.26 GK
4630.78 3.94 3 -3.17 RZ
4637.51 3.27 90 -1.25 GK
4647.45 2.94 107 -1.30 GK
4658.30 3.27 14 -3.01 RZ
4661.98 2.98 35 -2.56 GK
4691.43 2.98 113 -1.42
4706.30 3.64 7 -3.03 RZ
4716.84 3.25 6 -3.49 RZ
4726.14 3.00 15 -3.23 RZ
4736.78 3.20 194 -0.73
4745.13 2.22 10 -4.17 RZ
4760.07 3.04 5 -3.71 RZ
4780.81 3.25 7 -3.36 RZ
4787.49 3.02 2 -4.25 RZ
4790.56 4.15 7 -2.53 RZ
4790.75 3.25 8 -3.34 RZ
4793.97 3.05 7 -3.56 RZ
4794.36 2.42 11 -3.97 RZ
4799.07 4.28 3 -2.81 RZ
4802.53 4.61 15 -1.78 RZ
4808.15 3.25 26 -2.70 RZ
4809.94 3.57 18 -2.62 RZ
4859.75 2.86 170 -0.81
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4882.15 3.40 70 -1.64 GK
4890.77 2.86 280 -0.42
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4908.61 2.48 6 -4.20 RZ
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4938.82 2.86 112 -0.92 GK
4939.70 0.86 89 -3.34 B
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5150.85 0.99 120 -3.00
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5446.93 0.99 281 -1.86
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5491.83 4.19 12 -2.30 RZ
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5569.63 3.40 185 -0.14 GK
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5635.82 4.26 34 -1.65 RZ
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5661.02 4.58 4 -2.48 RZ
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5679.03 4.63 61 -0.81 GK
5680.24 4.19 11 -2.37 RZ
5701.56 2.55 86 -2.22 B
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5717.84 4.27 58 -1.09 GK
5731.78 4.24 53 -1.18 GK
5738.23 4.22 12 -2.30 RZ
5741.85 4.26 31 -1.73 RZ
5742.96 4.18 10 -2.42 RZ
5752.04 4.53 54 -0.99 GK
5753.14 4.24 84 -0.66 GK
5754.41 3.64 10 -2.91 RZ
5759.26 4.65 7 -2.14 RZ
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5784.67 3.38 25 -2.70 GK
5793.92 4.22 35 -1.68 RZ
5806.74 4.59 68 -1.00 GK
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6199.51 2.56 4 -4.41 RZ
6200.33 2.60 74 -2.44 B
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6226.74 3.88 29 -2.15 RZ
6229.24 2.83 21 -3.02 GK
6230.74 2.55 185 -1.28 B
6252.57 2.39 127 -1.69 B
6254.25 2.27 104 -2.47
6265.15 2.17 84 -2.55 B
6270.24 2.85 54 -2.69 GK
6290.55 2.59 3 -4.44 RZ
6297.81 2.21 73 -2.74 B
6303.47 4.32 5 -2.67 RZ
6311.51 2.82 25 -3.21 GK
6311.51 2.83 26 -3.21 RZ
6322.70 2.58 75 -2.43 B
6330.85 4.73 32 -1.29 RZ
6335.35 2.19 100 -2.23 GK
6336.84 3.67 119 -0.74 GK
6344.16 2.42 87 -2.92 B
6353.84 0.91 1 -6.57 RZ
6355.04 2.83 86 -2.35
6376.19 4.32 2 -3.06 RZ
6385.72 4.73 11 -1.90 RZ
6392.54 2.28 15 -4.04 RZ
6400.02 3.59 252 0.07 GK
6411.11 4.73 4 -2.37 RZ
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6421.37 2.27 142 -2.03 B
6430.86 2.17 117 -2.01 B
6436.41 4.19 9 -2.46 RZ
6475.64 2.55 54 -2.96 GK
6518.38 2.82 57 -2.64 GK
6533.94 4.56 38 -1.35 RZ
6546.26 2.75 172 -1.62
6575.05 2.58 54 -2.82 GK
6591.31 4.59 9 -2.10 RZ
6592.93 2.72 188 -1.57
6608.03 2.28 16 -4.03 RZ
6609.13 2.55 77 -2.69 B
6625.03 1.01 14 -5.35 RZ
6627.55 4.55 27 -1.59 RZ
6639.73 4.59 15 -1.72 B
6646.98 2.60 8 -3.99 GK
6667.43 2.45 5 -4.44 RZ
6667.72 4.58 8 -2.16 RZ
6678.01 2.68 172 -1.21 GK
6699.14 4.59 8 -2.17 RZ
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6703.59 2.75 35 -3.13 GK
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6713.05 4.59 23 -1.48 MA
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6725.36 4.10 17 -2.28 RZ
6733.16 4.62 26 -1.55 GK
6733.16 4.64 27 -1.50 RZ
6736.53 4.29 2 -3.14 RZ
6739.52 1.56 11 -4.92 RZ
6745.97 4.07 6 -2.76 RZ
6750.17 2.41 76 -2.62 B
6752.73 4.62 25 -1.34 GK
6753.47 4.56 5 -2.39 RZ
6756.55 4.29 4 -2.83 RZ
6786.86 4.19 24 -1.99 RZ
6793.26 4.07 11 -2.49 RZ
6796.12 4.14 11 -2.46 RZ
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6804.28 4.58 14 -1.92 RZ
6806.85 2.73 31 -3.21 RZ
6820.37 4.64 41 -1.22 RZ
6824.85 4.99 3 -2.23 RZ
6833.24 4.64 10 -2.03 RZ
6837.01 4.59 18 -1.79 RZ
6839.83 2.56 29 -3.42 RZ
6851.64 1.61 4 -5.39 RZ
6855.72 4.61 17 -1.79 RZ
6857.25 4.07 22 -2.15 RZ
6860.10 4.83 3 -2.43 RZ
6861.94 2.42 18 -3.84 RZ
6862.50 4.56 31 -1.50 RZ
6864.31 4.56 6 -2.34 RZ
6880.63 4.15 13 -2.37 RZ
6898.29 4.22 15 -2.21 RZ
6936.50 4.61 6 -2.27 RZ
6960.32 4.59 11 -2.01 RZ
6970.47 3.02 5 -3.85 RZ
6971.94 3.02 11 -3.49 RZ
6988.53 2.40 32 -3.53 RZ
7000.62 4.14 17 -2.25 RZ
7007.97 4.18 27 -1.93 RZ
7010.35 4.58 12 -1.99 RZ
7024.07 4.07 26 -2.07 RZ
7069.54 2.56 5 -4.36 RZ
7071.86 4.61 29 -1.50 RZ
7072.81 4.07 5 -2.85 RZ
7083.40 4.91 21 -1.40 RZ
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7118.10 5.01 11 -1.63 RZ
7124.99 3.69 2 -3.72 RZ
7132.99 4.07 42 -1.75 RZ
7142.52 4.95 37 -1.02 RZ
7151.47 2.48 22 -3.68 RZ
7155.64 5.01 34 -1.02 RZ
7180.00 1.48 17 -4.80 RZ
7189.16 3.07 37 -2.79 RZ
7190.13 3.11 12 -3.39 RZ
7212.44 4.95 32 -1.12 RZ
7221.21 4.56 41 -1.31 RZ
7228.70 2.76 23 -3.38 RZ
7261.00 2.73 15 -3.64 RZ
7268.56 3.88 7 -2.94 RZ
7284.84 4.14 40 -1.73 RZ
7306.57 4.18 43 -1.64 RZ
7312.06 5.03 5 -1.96 RZ
7400.86 2.61 3 -4.51 RZ
7401.69 4.19 41 -1.67 RZ
7418.33 4.14 3 -3.03 RZ
7421.56 4.64 16 -1.81 RZ
7430.54 2.59 12 -3.92 RZ
7447.40 4.95 33 -1.10 RZ
7461.53 2.56 25 -3.55 RZ
7463.39 5.06 8 -1.73 RZ
7481.74 2.76 4 -4.25 RZ
7484.31 5.08 9 -1.71 RZ
7498.54 4.14 18 -2.22 RZ
7501.27 4.19 3 -2.96 RZ
7540.44 2.73 11 -3.84 RZ
7547.90 5.10 21 -1.24 RZ
7551.10 5.08 10 -1.65 RZ
7582.12 4.95 11 -1.71 RZ
7617.99 4.19 11 -2.42 RZ
7719.05 5.03 31 -1.10 RZ
7723.21 2.28 39 -3.56 RZ
7737.67 4.41 3 -2.84 RZ
7745.52 5.08 21 -1.26 RZ
7751.11 4.99 49 -0.79 RZ
7820.79 4.29 5 -2.69 RZ
7844.55 4.83 12 -1.78 RZ
7941.10 3.27 43 -2.53 RZ
7954.94 2.99 7 -3.82 RZ
7955.70 5.03 25 -1.24 RZ
7959.15 5.03 22 -1.30 RZ
--------------------------------------------
表4.ペルセウス座アルファ星の中性鉄 Fe I のデータ.
波長、励起ポテンシャル、等価幅、gf 値
--------------------------------------------
λ(Å) χ(eV) EW(mÅ) log gf Ref
--------------------------------------------
4044.62 2.82 92 -1.01 F
4045.83 1.48 698 0.28 B
4049.34 2.58 26 -2.49 GK
4062.45 2.83 123 -0.77 F
4063.61 1.55 530 0.08 F
4065.39 3.42 28 -1.23 F
4067.99 3.20 143 -0.42 F
4070.78 3.23 83 -0.77 F
4071.75 1.60 421 -0.02 B
4072.51 3.42 0***
4079.85 2.85 34 -1.26 F
4082.12 3.40 34 -1.61 GK
4084.50 3.32 87 -0.58 F
4085.32 3.23 69 -0.69 F
4087.10 3.32 44 -1.43 GK
4091.56 2.82 10 -2.27 GK
4100.75 0.86 94 -3.18
4107.50 2.82 141 -0.72
4114.45 2.82 67 -1.15
4126.86 2.83 8 -2.47
4132.07 1.60 352 -0.63 F
4132.91 2.83 99 -0.85
4133.86 3.35 104 -1.23 F
4136.53 3.35 30 -1.61 GK
4139.94 0.99 24 -3.63
4141.87 3.01 41 -2.02 GK
4143.88 1.55 346 -0.44 F
4147.68 1.48 139 -2.10 B
4154.51 2.82 129*****
4156.81 2.82 183 -0.61
4157.79 3.40 140***
4174.92 0.91 102 -2.97 B
4175.65 2.83 177 -0.66
4182.39 3.00 63 -1.12
4187.05 2.44 235 -0.55 B
4191.44 2.46 276***
4191.69 2.85 37 -1.35
4202.04 1.48 432 -0.71 B
4206.70 0.05 64 -3.79
4208.61 3.38 54***
4216.19 0.00 119 -3.36
4222.22 2.44 215 -0.97 B
4227.44 3.32 0****
4233.61 2.47 234 -0.60 B
4235.95 2.42 342 -0.34 B
4241.12 2.82 19 -2.63 GK
4247.43 3.35 153 -0.22
4250.13 2.46 244 -0.41 B
4250.80 1.55 269 -0.69
4260.49 2.39 405 0.04
4271.17 2.44 218 -0.35 B
4271.78 1.48 398 -0.16 B
4276.68 3.87 27 -1.14
4282.41 2.17 254 -0.76
4291.48 0.05 55****
4325.78 1.60 392 0.00
4337.06 1.55 215 -1.70 B
4352.75 2.21 155 -1.19
4365.91 2.98 19 -2.34 GK
4375.95 0.00 199 -3.03 B
4383.56 1.48 393 0.20 B
4389.26 0.05 31 -4.58 B
4404.76 1.55 414 -0.14 B
4415.14 1.60 325 -0.62 B
4427.32 0.05 236 -3.04 B
4430.62 2.21 97 -1.66 B
4439.89 2.27 18 -3.00 B
4442.35 2.19 150 -1.26 B
4447.73 2.21 149 -1.34 B
4489.75 0.12 69 -3.97 B
4494.58 2.19 248 -1.14
4504.84 3.25 32 -2.20
4517.54 3.06 21 -1.77
4528.63 2.17 325 -1.45 B
4602.01 1.60 34 -3.15 B
4602.95 1.48 193 -2.22 B
4607.66 3.25 42***
4625.05 3.23 90 -1.26 GK
4637.51 3.27 44 -1.25 GK
4647.45 2.94 99 -1.30 GK
4661.98 2.98 16 -2.56 GK
4691.43 2.98 72 -1.42
4710.29 3.01 37****
4736.78 3.20 163 -0.73
4859.75 2.86 167 -0.81
4863.65 3.42 36***
4871.33 2.85 254 -0.40
4872.15 2.87 216 -0.59
4875.88 3.32 26 -2.01 GK
4882.15 3.40 41 -1.64 GK
4890.77 2.86 252 -0.42
4891.50 2.84 270 -0.13
4896.44 3.87 17 -2.07 GK
4903.33 2.87 130 -1.01
4907.74 3.42 33 -1.89 GK
4919.00 2.85 264 -0.36
4920.52 2.82 348 0.07
4924.78 2.27 64 -2.28 GK
4938.82 2.86 94 -0.92 GK
4939.70 0.86 109 -3.34 B
4946.40 3.35 74 -1.17 GK
4950.11 3.40 53 -1.67 GK
4966.10 3.32 133 -0.61 GK
4973.11 3.94 38 -0.79 GK
4994.14 0.91 93 -3.08 B
5001.87 3.87 226 0.13 GK
5002.80 3.38 29 -1.61 GK
5014.95 3.93 113 -0.14 GK
5022.24 3.97 70 -0.44 GK
5044.22 2.84 38 -2.15 GK
5049.83 2.27 185 -1.35
5083.35 0.95 119 -2.96 B
5110.41 0.00 172 -3.76 B
5127.37 0.91 77 -3.31 B
5141.75 2.41 18 -2.15 GK
5145.10 2.19 13 -3.21 GK
5150.85 0.99 119 -3.00
5151.92 1.01 59 -3.32 B
5166.29 0.00 52 -4.20 B
5171.61 1.48 206 -1.79
5191.47 3.03 170***
5192.36 2.99 253***
5198.72 2.21 59 -2.14 B
5215.19 3.25 87 -0.75 GK
5216.29 1.60 136 -2.15 B
5217.40 3.20 55 -0.99 GK
5229.86 3.27 121***
5232.95 2.93 301 -0.18
5250.66 2.19 66 -2.05 GK
5253.47 3.27 32 -1.58 GK
5263.32 3.25 67 -0.79 GK
5266.57 2.99 219 -0.48
5269.55 0.86 300 -1.32 B
5281.80 3.03 123 -0.95
5302.31 3.27 160 -0.59 GK
5307.37 1.60 83 -2.99 B
5324.19 3.20 228 -0.23
5332.91 1.55 68 -2.94 GK
5339.94 3.25 118 -0.49 GK
5371.50 0.95 326 -1.65 B
5393.18 3.23 158 -0.56 GK
5397.14 0.91 324 -1.99 B
5405.79 0.99 287 -1.84 B
5429.71 0.95 300 -1.88 B
5434.54 1.01 226 -2.12 B
5445.06 4.37 96 0.29 GK
5446.93 0.99 313 -1.86
5497.53 1.01 214 -2.85 B
5506.79 0.99 182 -2.80 B
5543.95 4.20 48 -1.14 GK
5554.90 4.53 80 -0.41
5562.72 4.42 60***
5565.72 4.59 73 -0.23 GK
5567.40 2.60 41 -2.73
5569.63 3.40 165 -0.14 GK
5572.85 3.38 228 0.19 GK
5576.10 3.42 115 -0.64 GK
5586.77 3.35 247 -0.20
5615.66 3.32 233 -0.13
5618.65 4.19 15 -1.38 GK
5624.56 3.40 126 -1.26 GK
5638.27 4.20 41 -0.80 GK
5655.50 4.24 77***
5679.03 4.63 33 -0.81 GK
5701.56 2.55 61 -2.22 B
5717.84 4.27 49 -1.09 GK
5731.78 4.24 46 -1.18 GK
5752.04 4.53 44 -0.99 GK
5753.14 4.24 70 -0.66 GK
5759.55 4.28 14***
5763.01 4.19 112 -0.21 GK
5775.09 4.20 38 -1.22 GK
5778.47 2.58 19 -3.59 GK
5784.67 3.38 12 -2.70 GK
5806.74 4.59 53 -1.00 GK
5809.23 3.87 46 -1.83 GK
5834.04 2.60 15 -3.59
5862.37 4.53 83 -0.36 GK
5873.22 4.24 19 -2.13 GK
5916.26 2.44 42 -2.99 B
5930.19 4.63 93 -0.20
5934.67 3.91 78 -1.25 GK
5976.79 3.93 47 -0.39 GK
5984.83 4.71 63 -0.30 GK
5987.08 4.78 44 -0.57 GK
6003.03 3.87 74 -1.13 GK
6005.56 2.58 17***
6056.02 4.71 99 -0.45 GK
6065.50 2.60 159 -1.53 B
6078.50 4.78 112 -0.36 GK
6096.68 3.97 34 -1.96 GK
6136.63 2.44 204 -1.40 B
6137.71 2.58 166 -1.40 B
6151.63 2.17 26 -3.30 B
6170.52 4.78 52 -0.41
6173.35 2.21 59 -2.88 B
6188.00 3.93 39 -1.80 GK
6200.33 2.60 48 -2.44 B
6213.44 2.21 80 -2.66 GK
6219.29 2.19 85 -2.43 B
6229.24 2.83 15 -3.02 GK
6230.74 2.55 183 -1.28 B
6232.66 3.64 60***
6252.57 2.39 134 -1.69 B
6254.25 2.27 115 -2.47
6265.15 2.17 72 -2.55 B
6270.24 2.85 49 -2.69 GK
6297.81 2.21 80 -2.74 B
6311.51 2.82 20 -3.21 GK
6322.70 2.58 48 -2.43 B
6335.35 2.19 103 -2.23 GK
6336.84 3.67 122 -0.74 GK
6344.16 2.42 49 -2.92 B
6355.04 2.83 44 -2.35
6400.02 3.59 189 0.07 GK
6408.03 3.67 101***
6411.67 3.64 153 -0.49 GK
6421.37 2.27 130 -2.03 B
6430.86 2.17 139 -2.01 B
6475.64 2.55 38 -2.96 GK
6518.38 2.82 45 -2.64 GK
6546.26 2.75 115 -1.62
6575.05 2.58 25 -2.82 GK
6592.93 2.72 161 -1.57
6609.13 2.55 45 -2.69 B
6639.73 4.59 17 -1.72 B
6646.98 2.60 16 -3.99 GK
6678.01 2.68 150 -1.21 GK
6703.59 2.75 21 -3.13 GK
6713.05 4.59 22 -1.48 MAY
6733.16 4.62 29 -1.55 GK
6750.17 2.41 28 -2.62 B
6752.73 4.62 15 -1.34 GK
--------------------------------------------
以下、図2
-----------------------------------------------------------------------------
FUNCTION OPCNT(WAVE,TEMP,PE,H0)
C --- Absorption coefficient per cm^3. Neutral hydrogen + negative
C --- hydrogen ion.
C --- WAVE = wave length in Angstrom,
C --- PE = electron pressure. dynes/cm^2,
C --- H0 = number density of neutral hydrogen atoms. N/cm^3
T=TEMP
FR=2.997925E18/WAVE
OPCNT=(1.0E-26*ABNEGH(T,FR)*PE + ABHYD(T,FR))
*H0/RHO
RETURN
END
FUNCTION ABHYD(T,FREQ)
C --- Hydrogen Opacity per Neutral Atom. Scale 1.
DIMENSION G(10)
U1=157786.46/T
U10=U1/100.
EHKT=EXP(-4.799275E-11/T*FREQ)
IF(FREQ-FR) 1,2,1
2 I=2
GO TO 3
1 FR=FREQ
I=1
M0=IFIX(SQRT(3.2880515E15/FR))+1
W=2.9979E14/FREQ
IF(W-.545) 400,500,500
400 J=1
GOTO 3
500 J=2
3 BF=0.0
DO 200 M=M0,9
XM=M
XM2=XM*XM
GO TO (10,20),I
10 G(M)=GAUNT(FREQ,XM)
20 BF=BF+G(M)*EXP(U1/XM2)/XM/XM2
200 CONTINUE
GO TO (40,50),J
C --- BF --- Bound-Free Opacity Summation Term.
40 G2=1.0
GO TO 300
50 AA=1.084+3.729863E-6*T
BB=0.00161+5.279343E-6*T
CC=0.0192+(-7.715657E-6+(1.115107E-9+(-6.113020E-14+1.13162E-18
* *T)*T)*T)*T
G2=AA+(BB-CC*W)*W
300 FF=(EXP(U10)-1.0+G2)/2./U1
ABHYD=(BF+FF)*2.0898E-14*EXP(-U1)*(1.0-EHKT)*W*W*W/2.0
RETURN
END
FUNCTION GAUNT(WAVE,X)
C --- Hydrogen B-F Gaunt Factors
K=X
W=2.9979E14/WAVE
IF(K-6) 90,6,7
90 GO TO (1,2,3,4,5),K
1 GAUNT=.9916+(.09068-25.24*W)*W
RETURN
2 GAUNT=1.105+(-.7922+.4536*W)*W
RETURN
3 GAUNT=1.101+(-.3290+.1152*W)*W
RETURN
4 GAUNT=1.101+(-.1923+.0511*W)*W
RETURN
5 GAUNT=1.102+(-.1304+.02638*W)*W
RETURN
6 GAUNT=1.0986+(-.0902+.01367*W)*W
RETURN
7 GAUNT=1.0
RETURN
END
FUNCTION ABNEGH(TEMP,FREQ)
TH=5040./TEMP
IF(FREQ-FR) 30,600,30
30 FR=FREQ
CHK=9.5224E-15*FR
W=2.9979E15/FR
W16=16.419-W
IF(W16) 500,210,210
500 I=2
GO TO 600
210 I=1
IF(W-14.2) 100,100,200
100 STAR=.00680133+(.178708+(.16479+(-.0204842+5.95244E-4*W)*W)
* *W)*W
GO TO 600
200 STAR=(.269818+(.220190+(-.0411288+.00273236*W16)*W16)*W16)*W16
600 A=.0053666+(-.011493+.027039*TH)*TH
B=-3.2062+(11.924-5.939*TH)*TH
C=-.40192+(7.0355-.34592*TH)*TH
ABNEGH =A+(B+C*W)*W/1000.
GO TO (300,2),I
300 BF=.4158*TH*TH*SQRT(TH)*EXP(1.737*TH)*(1.-EXP(-TH*CHK))*STAR
ABNEGH=BF+ABNEGH
2 RETURN
END
----------------------------------------------------------------------------
図2.連続吸収係数を計算するFORTRANプログラムの一例
図4.ペルセウス座アルファ星の中性鉄Fe I の成長曲線.