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ケフェウス座 Cep

星座解説 天体解説

 ケフェウス座.
 設定者はプトレマイオス.

 カシオペヤ座の隣にあって,夏から秋によく見えます.全体はとんがり帽子状で,印象的な形状ですが,輝星が少なく初め覚えるには手間取るかもしれません.

 この星座ではなんと言ってもδ星が有名です.1782年,オランダ生まれでイギリス育ちのジョン・グドリクが変光していることに気づいたという長い歴史を持った変光星です.赤色超巨星で,熱の流れが遮断・解放されて変光することがわかりました. この種の変光星をケフェウス座δ型変光星,ケフェイド,あるいはセファイドと呼んでいます.
 その後,この種の変光星はその変光周期が長いものほど明るいという周期光度関係があることが明らかになり,これを用いて遠方の球状星団や近傍の銀河までの距離が推定できるようになりました.このように,セファイドは宇宙論的にも大きな意義を持っている星です.

 μは赤く見えるため別名をガーネット星と言い,ウィリアム・ハーシェルが名づけたとされています.太陽直径の1500倍もある超巨星で,不規則変光星です.

 βはおおいぬ座β型変光星の代表的な星で,4時間34分ほどの周期で3.30等から3.35等まで変光しています.

主な恒星
符号 名前 意味 等級 距離
α アルデラミン 右腕 2.4 49
スペクトル型:A7V.
β アルフィルク 羊の群れの星 3.2 230
スペクトル型:B1IV.周期0.19日の代表的なおおいぬ座β型変光星で,8.0等の伴星と実視連星となっています.
γ エライ 羊飼い 3.2 50 
スペクトル型:K1III-IV.
δ ---  --- 3.8: 300
スペクトル型:F5Ib-G2Ib.周期5.37日の代表的なセファイド.7.5等の伴星と実視連星となっています.

星雲・星団・その他
NGC 188
散開星団.赤経00h39m,赤緯+85°03′.北極星に近い老齢の散開星団として知られています.150ほどの星が含まれています.
NGC 6946
Sc型の渦状銀河.全光度11等.赤経20h34m,赤緯+59°58′.ややほどけた感じに渦状腕が見えます.
NGC 6951
やや固く巻きついた感じの渦状銀河.






ケフェウス座の神話

 ケフェウスはギリシャ神話に登場するエイティオピアの王様です.エイティオピアはパレスチナから紅海に及ぶ地域で,現在のイスラエル,ヨルダン,エジプトを含んでいたそうです.
 ケフェウス王はゼウスの子孫であり,ゼウスとイオのに生まれた子に続く子孫でした.そして,王の后がカシオペアでした.ポセイドンが海獣を送ってきた時,ポセイドンの怒りを静めるにはどうすれば良いか,神託を仰いだところ,処女娘アンドロメダを生贄としてささげなければならないというお告げが下ったので,彼はアンドロメダを地中海の海岸に縛り付けました.
 ケフェウスは神の言うとおりにしたが,そこに英雄ペルセウスが登場しました.ペルセウスは海獣を殺し,姫を呪縛から解いてやりました.ペルセウスは事前の約束にしたがい姫との結婚を要求しました.ケフェウスはそれに同意したものの,問題がありました.ケフェウスはすでにアンドロメダを彼の弟ピネウスに嫁することを約束していたのだでした.
 ピネウスはアンドロメダとペルセウスの結婚式の披露宴にたくさんの従者とともに殴りこんできました.そこで,ペルセウスは彼の許婚アンドロメダとの結婚が正当であることを示すために,また戦いに臨まなければなりませんでした.披露宴はたちまち血の戦闘場と化し,ペルセウスはピネウスと従者たちをことごとく切って捨てました.