本ページは家元肇氏(大阪教育大学)が作成されたレイアウト意匠を使用させていただいています。家元氏のご協力に感謝致します。

 

ペルセウス座 Per

星座解説 天体解説

 ペルセウス座.
 設定者はプトレマイオス.

 アンドロメダ座とぎょしゃ座の間にあり,カシオペヤ座と隣り合っています.はくちょう座からカシオペヤ座へと伸びている天の川の流れに入っています.

 漢字の人型に並んだ星たちで,カシオペヤ座からたどるとわかりやすいようです.

 カシオペヤ座との境界には二重星団h&χがあり,暗夜には肉眼で認められます.

 悪魔を意味するアルゴルはペルセウスが退治した魔女メズーサの頭に位置する星で,その名のとおりアルゴル型変光星の代表です. 深くはっきりした第一極小(伴星が主星の前面を通過する)と浅いがはっきりした第ニ極小(主星が伴星の前面を通過する)が見えることが大きな特徴です. 1667年,イタリアのモンタナリが変光することに気づき,ジョン・グドリクが1782年から翌年にかけて詳しく観測し,2日と約20時間で規則的に変光していることを明らかにしました. これは2星が回転しあう連星系で食を起すために変光しているものですが,両星は近接しているため質量の交換があったり,それらを巡る第3体があったり,なかなか複雑な構造をしています.









 
主な恒星
符号 名前 意味 等級 距離
α ミルファク プレヤデスのひじ 1.8 500
スペクトル型:F5Ib.ペルセウス運動星団
β アルゴル 悪魔の頭 2.1: 93
スペクトル型:B8V+G.アルゴル型食変光星の代表.G8III星と周期2.9日の分光連星となっており,さらに第3体cと周期1.9年の分光連星になっています
γ ---  --- 2.9 260
スペクトル型:G8III+A2V.分光連星
δ ---  --- 3.0 500
スペクトル型:B5III.りょうけん座α星類似か.やや変光
ε ---  --- 2.9 500
スペクトル型:B0.5V+A2V.8.3等の伴星と実視連星
ζ ---  --- 2.8 1200
スペクトル型:B1Ib.9.4等の伴星と実視連星

星雲・星団・その他
h&χ (NGC 869 + 884)
カシオペヤ座との境界付近にある有名な二つの散開星団.誕生して2千万年ほどの若い星団で,総計700星ほどから成っています.青色巨星から進化した赤色巨星も観測されています.距離は8000光年ほどあって,銀河系の渦巻き腕ペルセウス腕上に乗っているようです.
NGC 1499:カリフォルニア星雲
二つの散開星団.横長の散光星雲.ペルセウス座ζアソシエーションの北縁にあり,ξ Per により光っています.
GK Per
1901年2月出現した新星で,数十年後,星雲状の残骸が広がっているのが検出されました.
流星群:ペルセウス
出現期間は8/7-15.極大は8/12-13.母彗星はスイフト・タットル彗星.出現数は多く,現在最も活発な流星群.紀元36年頃より出現の記録があります.

ペルセウス座の神話

 ペルセウスはゼウスとアルゴスの王アクリシウスの娘ダナエの間に生まれました.王は娘ダナエを,哀れなことに,誰も彼女に接することがないようにと地下牢に閉じ込めてしまいました.と言うのは,アクリシウス王は孫の手にかかって殺されるだろうというお告げがあったからです.娘が子どもを生まないことをはっきりさせることでしかお告げに対抗する手段はない,と考えたのでしょうが,王がいくら警戒しても神ゼウスによってそれは打ち砕かれてしまいました. 
 ゼウスはオリンポス山から見おろしていました.地下牢で苦しんでいるダナエを見て,彼女をわがものにと考えました.ゼウスは金の雨に変身し,牢屋の障害物を通りぬけダナエの膝元へ進入していきました.そして,彼女は身ごもり,ゼウスの息子ペルセウスを生み落としました.アクリシウスは荒れ狂い,母子を衣装箱に押し込んで海に流してしまいました.数日して衣装箱はある国の海岸へと流れ着きました.それを見つけたのはディクティスという名前の漁師でした.彼は衣装箱を壊して母子を見つけ出すと,その子を養子とし,わが子として育てました. 
 この事件があった頃,ディクティスはその地の王ポリディクティスと兄弟でした.何年もたって,ポリディクティスはダナエと出会い,彼女を自分のものにと望みましたが,今や大きくなっていたペルセウスが王の前に立ち塞がりました.挫折感と屈辱感にとりつかれた王はペルセウスを亡き者にしようと考えました. 
 そこで,王はエリスのオエノマウス王の娘ヒッポダメイアと結婚するつもりだという話を流しました.ポリディクティス王の狙いは持参金代わりにたくさんの馬を集めることだとされていました.ポリディクティス王はペルセウスが馬も金も持っていないことを知っていました.それが付け目でした.王はペルセウスに何か別のものを持ってくるようにと要求ました.それで,ペルセウスはゴルゴン族のメデューサの頭を取って来ることになりました.王はペルセウスが生きて戻ることはないだろうし,これで晴れて母ダナエと一緒になれると考えていました. 
 ゴルゴンは3人姉妹でしたが,その顔はふた目と見られぬ醜さで,直接ゴルゴンの視線を浴びるとたちまち石にされてしまいました.エウリャーレとステノの2人は不死身でしたが,3人目のメデューサは殺せないことはありませんでした.実際,かつてメデューサはとてもきれいな普通の人間の女性でした.メデューサの自慢は髪の毛でした.ポセイドンがアテナ神殿の奥でメデューサを口説くと,女神アテナは憤怒し,メデューサをゴルゴンのあの醜い姿に変えてしまったのです.そして,美しいメデューサの髪はのたうちまわる蛇となってしまいました.
 ポリディクティス王はペルセウスとメデューサが闘って生きて帰ってくるとは想像できませんでしたが,たとえペルセウスがうまくやったとしてもメデューサの頭は強力な武器となるはずでした.その目に睨まれたら誰でも石になってしまうのですから.
 ペルセウスに同調する強力な神々がいました.地獄の神ハデスはかぶると姿が見えなくなるという不思議な兜をペルセウスにやりましたし,使いの神ヘルメスは天を猛烈な速度で駆け巡ることができる羽のついた靴をやりました.火の神ヘファエストスはダイヤモンドの剣を作ってやり,アテナはピカピカに磨いた青銅の盾を贈りました.それはゴルゴンをそれに映して見るようにという配慮からでした.金属の盾によってゴルゴンの眼力は弱まり,ペルセウスがゴルゴンの姿を見ても石になることはありませんでした.
 ペルセウスはゴルゴンと闘い,その頭を手に入れました.ゴルゴンの体からは天を駆ける馬ペガススと金の剣をもった戦士クリサオールが飛び出しました.闘いの後,ペルセウスはゴルゴンの頭を携え,アフリカを通って天を駆けて行きました.メデューサの頭からリビヤの砂漠に血が流れ落ち,そこから蛇が生まれてました.アトラスの王国で休んでいた時,その地の王はペルセウスが敵愾心を抱いていると感じ,亡き者にしようと画策しましたが,ペルセウスがメデューサの頭を奉げるとアトラス王はたちまち石になってしまいました.これが北アフリカのアトラス山の起源とされています.

 その後のエイティオピアのアンドロメダとのやり取りなどはアンドロメダ座やケフェウス座の神話をご参照ください.