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おおぐま座 UMa

星座解説 天体解説

 おおぐま座.北斗七星を含む北天の大きな星座.
 設定者はプトレマイオス.

 北斗のますを作るαとβの間隔を北へ5倍伸ばしたところに北極星があるため,この両星を指極星と呼んでいます.

 わが国ではかつて,北斗七星を四三(しそう)の星,かじ星などと呼んだこともあったそうです.

 北斗の7つのうち,両端の2星を除く5つの星は,かんむり座α星などと一緒に,おおぐま座運動星団を形成しており,30億年ほど前に誕生した星の集団と考えられています.北斗七星は同じような明るさの星が偶然並んでいる,というわけではないのです.おおぐま座運動星団の中心は約75光年ほどのところにあり,約15ほどの星たちが約14km/秒の速度でいて座の東にある収束点に向って動いています.

  ひしゃくの柄の先から2番目の星ミザルは二重星で有名で,4等星アルコルが肉眼で認められます.昔アラビヤでは眼の検査に使っていたということです.

 変光星SU星(SU UMa)は矮新星または爆発変光星と分類される変光星で,はくちょう座SS星やふたご座U星と似ていて,ふだんは15等ですが,16〜17日の間に突然11等に40倍も増光します.この系は白色矮星を含む近接連星系で,質量交換が起っていて降着円盤が形成され,その変動によって大幅な変光が起ると考えられています.

 変光星W(W UMa)は矮星食連星系で,F型の2つの主系列星が接触状態となり,大気を共有しています.公転周期は8時間ほどで,その間に食が2回起ります.両星はほとんど同じような星なので,2回の食の深さは似ています.

 グルームブリッジ1830は6.5等のG8型の星で,1年に7秒という非常に大きな固有運動(第3位の記録)を持っています.距離は約28光年です.アルクトゥルスと同様の老齢種族の高速度星です.







主な恒星
符号 名前 意味 等級 距離
α ドゥベー 大熊の背 1.8 120
スペクトル型:K0IIIa+F0V.実視連星
β メラク 2.4 79
スペクトル型:A1V.おおぐま座運動星団
γ ファクダ 大熊の股 2.4 84
スペクトル型:A0V.おおぐま座運動星団.高速自転星
δ メグレス 付け根 3.3 53
スペクトル型:A3V.おおぐま座運動星団.高速自転星
ε アリオト 1.8 81
スペクトル型:A0p.おおぐま座運動星団.A型特異星(磁変星)
ζ ミザル 腰布 2.3 78
スペクトル型:A1Vp+A1m.おおぐま座運動星団.アルコルと二重系.ミザル自身は連星系で,離角が14秒もあるので小望遠鏡でも容易にわかります.この両星とも分光連星なので,ミザルは4重星系です.
η アルカイド 大きい 1.9 100
スペクトル型:B3V.中国名が破軍星

星雲・星団・その他
M 97(NGC 3587):ふくろう星雲
梟の顔に似た形状の惑星状星雲.かつてイギリスのロス卿が梟に見たそうです.
M 81(NGC 3031)
Sb型の渦状銀河.M82とペアを作ります.距離は650〜900万光年.
M 82(NGC 3034)
強い電波源となっている不規則銀河.M81とペアとなっています.中心から爆発状に水素ガスが伸び,活発に恒星が誕生しているようです.
M 101(NGC 5457)
渦状銀河.ちょうど正面向きになったSc型で,発達した渦状腕が特徴.

おおぐま座の神話

 ある話によれば,おおぐまはこぐまと共にゼウスの誕生と関係していて,おおぐまは木の精アドラスティアとされています.
 一般によく知られている別の話では,おおぐまはたくさんいたゼウスの恋人の一人カリストでした.カリストは理想郷アルカディアの王リケイオンの娘でした.狩が好きで,狩の女神アルテミスのお供に加わっていました.カリストはアルテミスのお気に入りとなり,純潔を守りとおすことを誓いました.
 ある日,地へ下ってきたゼウスは森の木立に眠るかわいいカリストを見つけました.ゼウスは女神アルテミスの衣装を装ってカリストに近づき,それと知らぬカリストを抱きしめると,正体を現し,いやがるカリストを自分のものとしてしまいました.この出会いによってカリストは妊娠し,これを知ったアルテミスは怒り狂い,カリストを厳しく罰しました.
 カリストはやがてアルカスという名の男児を生みました.これによって,カリストは嫉妬深いゼウスの妻ヘラの怒りをかうことになりました.ヘラはこの哀れなカリストを熊に変えてしまったのでした.カリストはそれから15年の間,熊に姿をやつし,森の中をさまよい歩きました.かつて,狩を好んでいたカリストが,今や,狩人の餌食となる運命でした.ある日,成長して狩を楽しむほどになったアルカスと森の中でばったり出くわしました.アルカスは熊が母親カリストと知る由もなく,これを槍で突こうとしました.その時です.このようすを見ていたゼウスはつむじ風を送ってそれを妨害し,アルカスと熊を天に放り上げました.そこで,カリストがおおぐま座に,アルカスがうしかい座(こぐま座になったという話もある)になりました.
 ヘラは復讐の仕上げとして,熊が気持ちの良い冷たい北の水につかることができないように,熊の位置を天の北極に近づけました.そのため,熊は決して水平線に触れることがありません.