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こぐま座 UMi

星座解説 天体解説

 こぐま座.
 設定者はプトレマイオス.

 北極星をα星とする北天の星座.全体が小さなひしゃく形となっており,北極星をこぐまの尾,ひしゃくのますを体と見ます.

 北極星は天の北極から約1度離れていますが,この間隔は地球の歳差運動によって変化し,西暦2102年に最も接近します(約28分まで).

 なお,北極星は小型望遠鏡でも見える連星で,白色の8等星がついています.周期は約9万年とされています.1779年,ウィリアム・ハーシェルが発見しました.主星は周期30.5年の分光連星で,さらに約4日周期のセファイドです.ただ,その変光幅は小さく,もはや脈動をしていないのではないかと指摘する研究者もいます.

 
主な恒星
符号 名前 意味 等級 距離
α ポラリス 北極星 2.0 430
スペクトル型:F7:Ib-IIv.分光連星,実視連星.セファイド
β コカブ 明るい子牛 2.1 130
スペクトル型:K4III.3000年前には極に近い明るい星でした.
γ フェルカド  暗い子牛 3.1 270
スペクトル型:A3II-III.不規則変光星.複合周期の矮星セファイドか?

星雲・星団・その他
流星群:こぐま
出現期間は12/21-23.極大は12/22-23. 母彗星はタットル彗星.出現数は少ないが,流星雨になることもあります.

こぐま座の神話

 こぐまはゼウスの誕生と関係があります.
 ゼウスは不死の神であり,決して死ぬことはありません.では,始めはどうなっていたか?誕生はしているのです.母はレアと言い,ローマではオプスあるいはシベレということになっています.父はクロノスで,ローマでは農耕の神サトゥルヌスです.クロノスはタイタン族の神々の中で最も若い神でした.息子の一人に王座から引き摺り降ろされるだろうという預言があったため,クロノスは子どもが生まれると殺してしまいました.ゼウスが誕生するまですでに7人の子どもたちをこうして抹殺していました.
 レアは赤ん坊ゼウスを包んでいた布の中に石を包んでクロノスをだましました.クロノスは石を信じ込んで,子どもを遺棄したと思いこんでしまいました.レアはゼウスを秘密裏にクレタ島へ連れて行きました.そこではニンフのアドラステイアとイダが洞穴の中でゼウスの世話をしました.洞穴はクレタの戦士たちによって守られ,赤ん坊の泣き声がクロノスの耳に入らないように彼らは洞穴の外で大騒ぎをくり返しました.
 赤ん坊ゼウスは1年間,洞穴にこもっていましたが,やがてゼウスは父クロノスを倒し,クロノスが抹殺した子どもたちを甦らせました.これらの子どもたちは若い神々のリーダーとなりました.この若き神々は宇宙を支配するタイタン族の掟を10年戦争の中でひっくり返してしまいました.
 こぐまは古代の神話ではゼウスの世話をしたニンフのイダとされています.おおぐまはしばしばアドラステイアと同一視されているという人もいます.どうしてニンフが熊に変化するのか,説明はありません.
 こぐまはおおぐま座にされたカリストの息子アルカスという話もあります.