本ページは、家元肇氏(大阪教育大学)の作成されたプログラムを加藤が少し加工しました。加工・転載を許可された家元氏のご協力に感謝致します。


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星のみ 星座線 星座絵 バイエル符号・星名 星雲・星団

星のみ

 
おうし座
学名 (略符) Taurus (Tau)
属格 Tauri
概略位置
(赤経,赤緯)
( 4h 30m , 18°)
20時に子午線を
通過する時期
1月24日
星の数 (6等以上) 170
面積 (平方度) 797

 
星座解説


DUMMY

 黄道第2星座.占星術では金牛(きんぎゅう)宮.
 設定者はプトレマイオス.

 1等星アルデバランから,ちょうど「>」の形に角が伸びた牡牛の姿です.角の先にあるβ星は,隣のぎょしゃ座にもかかっています.
 現在,春分点は隣のうお座にありますが,紀元前4000年-7000年の間は,このおうし座にありました.古くバビロニア時代に設けられた歴史ある星座です.神話については下記を参照してください.

 ヒヤデス,プレヤデス,かに星雲,T タウリ星など多彩な天体が浮かんでいます.電波観測ではたくさんの分子雲が観測されており,活発な領域となっています.このあたりを冬の天の川が流れていることと関係があります.


おうし座の神話

 この牛はギリシャの神々の中で最高位にいるゼウス(ローマではジュピター)の数ある恋物語の一つと関連しています.その牛は,ゼウスの熱情によって白い若い雌牛に変えられたアルゴスの娘イオを表しているという話もあります.イオはくじゃく座の神話に登場します.
 しかし,若い雌牛を牡牛と見なすのはむずかしいでしょう.もっともらしいのは,エウローペをさらうために牡牛の姿に化けたゼウスを表すと見ることです.エウローペはフェニキアのアゲノル王の娘でとても美しく,タイヤの海岸で女友達と一緒に水浴びをしていました.ゼウスが化けたおうしは彼女らに近づいて行きました.全身真っ白のおうしにエウローペは魅了されてしまいました.おうしが彼女の足元に横たわった時,彼女はその背に乗ってみようという気になって,ひょっと乗ってみました.するとおうしはやおら立ち上がり,波に向って飛び込んでクレタ島まで連れて行ってしまいました.そこでゼウスは正体を明かし,エウローペを口説いたのでした.この結婚によって生まれた息子はクレタ島のミノス王となりました.彼はアリアドネとミノタウルスの話にも登場します.
 ゼウスがエウローペの機嫌をとるために贈ったものに,一頭の大きな犬がいました.それがおおいぬ座になりました.


 おうし座は非常に広く目だった星座であり,星座の各部にまつわる伝説もあります.おうしの鼻にあたる部分にV字型に集った星たちがヒヤデスとして知られています.伝説によれば,ヒヤデスはタイタン族のアトラスとニンフ・アエトラの娘たちだったということです.彼女らの最年長の兄をヒュアスと言いました.ヒヤスは坊主頭の腕の立つ猟師でしたが,雌ライオンに殺されました.妹たちは彼を深く愛しており,彼の死に悲嘆に暮れていました.彼女らの深い悲しみを哀れみ,神は彼女らを星にしたのでした.
 ヒヤデスは赤ん坊だった酒の神ディオニソスを山の洞穴の中で大切に育て上げた妖精たちに同定されることもあります.


 おうしの肩のあたりにある星の集団がプレヤデスです.伝説ではプレヤデスはヒヤデスの異母姉妹とされており,父はアトラスで,母親は海の妖精プレイオネです.
 プレヤデスは7人の姉妹ですが,6人しか目には見えません.アルキオネは星団の最も明るい星で、他の6人はアステロペ,セラエノ,エレクトラ,マイア,メロペ,タイゲテです.マイアはゼウスにそそのかされて使者の神ヘルメスの母となりました.ゼウスはまたエレクトラとタイゲテとも関係を結んでいます.これらの関係からトロイアとラセダエモンの設立者,そしてスパルタの設立者であるダルダヌスが生まれました.アルキオネとセラエノは,戦いの神アレスがアステロペに強引に言い寄っている間に海神ポセイドンに誘惑されてしまいました.
 7人のプレヤデスの中でメロペは人間としての運命を持った恋人がいました.この男は死さえもだましてしまったという悪賢いシシフォスでした.あまりのずうずうしさに罰として,シシフォスは丘の上に上げるたびに転げ落ちてしまう重い石を上げるという作業を永久に続けることを運命づけられました.
 7人の姉妹のうちいなくなったのはメロペであるという話があります.と言うのは,彼女はただ一人人間としての運命を持った恋人がいたからです.また,いなくなったのはエレクトラで,アガメムノンのギリシャの軍隊によって滅ぼされたトロイアのできごとに打ちのめされて,姉妹を残して泣きながら離れて行ったという話もあります.

天体解説

 

主な恒星
符号 名前 意味 等級 距離
α アルデバラン 後に続くもの 0.8 65

スペクトル型:K5III.牛の右目に輝く1等星.一等星の解説も参照してください.

β エルナト 角で突くもの 1.7 130

スペクトル型:B7III.雄牛の角の先に輝く2等星.

ζ --- --- 2.9 500

スペクトル型:B4IIIpe.ガス殻星.周期133日の分光連星

η アルキオネ 女神の名 2.9 250

スペクトル型:B7IIIe.ガス殻星.4重連星.プレヤデスの中で一番明るい.

T T タウリ  --- 10:   

ヒヤデスの近くにあって,変光星雲NGC1555と関係している不規則な変光を見せる若い星.これから主系列になる直前の活発な星と見られています.

RV RV タウリ  --- 10:   

75日と1300日の周期を持った半規則変光星で、おうし座RV型の代表.セファイドの特性も見せていますが,別の種類に分類されています.9.8等から13.3等まで変光し,スペクトルはF2IaeからK4e型まで変化します.


星雲・星団・その他
ヒヤデス星団

牛の顔にのところにある散開星団.距離149光年.星数約100個.赤経4h19.8m,赤緯+15°37′.アルデバランは距離65光年にあり,ヒヤデス星団とは偶然同じ方向に見えるだけで,星団の中には含まれません.双眼鏡で見ると星がたくさん散らばり,非常に美しい星団です.

M45 (Mel.22):プレヤデス星団

牛の肩のところにある散開星団.光度1.6等.距離410光年.
赤経3h47.1m,赤緯+24°06′.清少納言の「枕草子」にも「星はすばる...」との記述があります.日本では「すばる(昴)」,「はごいた(羽子板)星」,「群がり星」などと呼ばれていました.視力のよい人なら肉眼でも6個以上は見えるでしょう.双眼鏡で見ると,大小130もの星が見え,非常に美しい.写真では薄い青色の光の雲に包まれた姿が浮かんできますが, これはこの星団がまだ若いことを表しています.

M1(NGC1952):かに星雲

メシエカタログで第1番目にランクされた超新星残骸.1054年7月に爆発が観測されています.その後,望遠鏡観測により実際膨張していることが確かめられ,強い電波源でありX線源であることも分りました.これらはいずれも,いかに激しい爆発であったかを物語っています.1968年には周期0.0331秒というパルサーPSR0531+21が発見され,超新星の元になった星と同定されました.爆発のショックで直径10kmほどに縮んだ星ー中性子星であろうと考えられています.Tau X-1,Tau A,3C144など各種の名称で呼ばれることもあります.

流星群:おうし
出現期間は10/23-11/20.極大は11/4-7. 極大時の1時間あたりの出現数は約10個. 母天体はEncke(エンケ).
流星群:おうしβ
出現期間は6/5-7/18.極大は6/30.出現数は中.