25/Jan./2000 開設

天文教具のいろいろ







  *** 目   次 ***

1.天文教具とは
2.天文教具のいろいろ
3.天文教具に関する本

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1.天文教具とは




 天文現象が起こる原理や、宇宙の構造を学ぶために使われる道具が「天文教具」です。その歴史は古く、天球儀などは2000年前には既に存在していました。
 天文教具には、
・実際の観測に使うもの(例:高度方位測定器、分光器)
・現象などを簡単な実験モデルにしたもの(例:三球儀)
・天文学で得られた知識をまとめたもの(例:天球儀、月面図)
・原理や法則を用いてシミュレーションするもの(例:コンピュータ星座早見)
などがあり、広く教育の場で用いられています。
 天文教具は、今でも次々と新しいものが開発されています。

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2.天文教具のいろいろ




ここでは、天文教具の代表的なものを紹介します。写真の教具は、大阪市立科学館所蔵のものです。写真をクリックすると、もう少し大きな写真を見る事ができます。


写真解説
簡易日射計


太陽光のエネルギーを測定する装置です。これを太陽に向け、装置に入れた水の温度がどれだけ上昇するかを測ってエネルギーを算出します。

月の満ち欠け説明器


 太陽と月、地球の位置関係から月の満ち欠けが起こる原理を説明できる模型。それぞれの月齢の時の月の出入り時刻の違いなども知る事ができます。

コペルニクスの太陽系モデル


コペルニクスの太陽中心説を表わした立体模型です。惑星の配置は手動で動かすことができ、会合や衝といった惑星相互の位置関係を説明することができます。

三球儀


 太陽、月、地球の位置関係を立体的に表わした模型です。ハンドルを回すことによって、月の満ち欠け、日月食の説明をはじめ、四季の変化や昼夜の長短などを説明することができます。

四球儀


 太陽、地球、月、金星の位置関係を表わした立体模型です。星を動かすことによって、月や金星の満ち欠け、日月食、金星のみかけの運動を簡単に知ることができます。

金星儀


金星表面の様子を表わした模型です。金星は厚い雲に覆われていて、望遠鏡では表面の様子はわかりません。この金星儀は、探査機マゼラン号のデータをもとに作成されました。

火星儀


 火星表面の様子を表わした模型です。惑星探査機によって確認された100以上の地形が描かれています。

星座早見盤


 片方の円盤を回転させ、縁にある日付と時刻を合わせると、知りたい日時の星空の様子が一目でわかります。また、時間とともに星座の見える方角が変わっていく様子や、目的の星座がいつ見えるかを知ることもできます。
星座早見盤に関する詳しい説明はこちら

月・太陽位置測定器


 月や太陽の方位と高度を測定する装置です。筒をのぞいて天体をとらえることで、その高度・方位を読み取ることができるようになっています。日周運動や季節による変化を知るのに使われます。

透視天球儀


 四季の星座の移り変わりや日周運動など、地球の自転・公転による天文現象が説明できます。

小型プラネタリウム


 プラネタリウムは、暗くした部屋の中で壁や天井に星を映し出す幻灯機です。日周運動や緯度による星空の違いを再現することができます。

太陽系大きさ比較


 月と9つの惑星が同じ縮尺で描かれているので、これらの大きさの違いを実感することができます。



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3.天文教具に関する本




 学校や博物館施設などの教育現場では、日々新しい天文教具が開発・製作されていますが、天文教具全体をまとめて詳しく記述した本は、ほとんどないのが現状です。 従って、天文教具について調べようと思うと、天文教育や理科教育に関する本や文献をローラー作戦で調べないと、全貌は分からないように思います。しかも、コンピュータソフトまで天文教具とみなすと、さらに奥が深くなってしまいます。そんな中で、教具について詳しくまとめられた本をご紹介します。

1.高城武夫著 『天文教具』 恒星社厚生閣発行 1973年
一冊まるまる天文教具の話題だけという単行本は、これが唯一の存在ではないでしょうか。
個々の天文教具に関する紹介だけでなく、その歴史などにも触れられており、大変詳しい本です。また天文教育の目標や、その実践例などにも多くのスペースが使われています。残念ながら絶版になっていて、図書館などでしか見る事ができません。


2.天文教育展実行委員会編 『天文教具』 自費出版 1992年
1992年5月の日本天文学会春季年会において、「新しい天文教具」と題した展示会とフォーラムが開催されました(主催は天文教育普及研究会と日本天文学会)。その時の収録冊子がこれです。
この小冊子には、展示された天文教具に関する紹介をはじめ、第一回から六回までの天文教育普及研究会の場で発表された天文教具の採録なども収められています。最近の天文教具の流れを見るのには必要な文献ですが、自費出版により小部数が印刷されただけなので、今となっては入手は不可能。展示などに関わった機関などに所蔵されているのをみせてもらうしかないと思います。



 これらの他、どんな天文教具が現行商品なのかを知るには、理科教材会社が発行しているカタログや、天文雑誌の広告を見るのがいいでしょう。


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