なにわの天文・史跡めぐり




写真:藤原家隆の塚(天王寺区夕陽ケ丘町5)


★夕陽丘と家隆塚★
 地下鉄谷町線・四天王寺駅の西側に夕陽ケ丘(ゆうひがおか)町という地名 があります。これは、新古今集の撰者として知られる鎌倉時代の歌人藤原家 隆(ふじわらのいえたか:1158〜1237)が晩年この地に住み、

  「契りあれば難波の里にやどり来て浪の入日を拝みつる哉」

と詠んだことにちなんで付近一帯が夕陽山と名づけられ、やがて現在の地名 になったものだといわれています。
 四天王寺駅から西へすぐの所に家隆の塚と碑があります。家隆は晩年の 1236年に出家し、浄土信仰の中心地である大坂・四天王寺にほど近いこの地 に移り、ここで死を迎えたのでした。この家隆塚は、第二次大戦後しばらく は荒れたままになっていたそうですが、現在では整備され、由来などが書か れたパネルなども立てられています。
 家隆塚から南へすぐ、大江神社の境内には「夕陽岡」の石碑が立っていま す。これは明治時代に作られたものです。この神社の境内には、松尾芭蕉の 「あかあかと日はつれなくも秋の風」という句を刻んだ石碑が建っています。 ただし、この句は『奥の細道』の句で、大阪で詠まれたものではありません。