なにわの天文・史跡めぐり



写真:星合池




★星合池(北区天神橋2.大阪天満宮境内)★

 受験の神様としても知られている「天満の天神さん」こと大阪天満宮の境内の北側にある小さな池。池には「星合橋」という小さな橋がかかっていたり、「星合茶屋」という名の茶店があります。
 江戸時代の資料を見ると、星合池の少し北には「明星池」という池もありましたが、こちらは明治時代に無くなっています。江戸時代の文献『摂津名所図会大成』によると、その昔天満宮に神様が鎮座した最初の夜に、大きな松の樹が生え、その梢に明星が降臨し、星の光が池の水に光り輝いたということから「明星池」と名づけられたといいます。
 現在も残っている星合池の方の由来は伝わっていないようですが、池の前にある由来書には先の明星池の伝説が、星合池のそれとして紹介されています。しかし、江戸時代には既に二つの池が混同されていたようなので、そこから来た誤解と思われます。ともあれ、両者とも大変古い池で、16世紀後半に織田信長が石山本願寺攻めを行った際、この二つの池の間に本陣を布いたという記録も残っています。

 江戸時代になると、星合池は「七夕池」とも呼ばれ、池の側には七夕の社がまつられていたというが、現在は残っていません。
 では、なぜこの池と七夕伝説が結びついたのでしょうか。これは私見ですが、その謎を解く鍵は池の側にある由来書の内容から得られそうです。由来書によると、この池では昔から若い男女の見合いが行われていたそうです。つまり、男女の出会いというところから、その象徴である織り姫・彦星がまつられるようになったのではないかと考えられます。


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【資料1:攝津名所図会大成 巻之十二】

七夕池(たなばたのいけ)
同農人町大工町の間にあり。此池の地所ハ川嵜村ニ属すといふ其由縁詳ならず。 或ハ星合の池ともいふ傍ニ七夕社あり。世人 明星の池と思ひ違ふことあり。明星の池ハ次ニ記す所ニあり。

明星池(みゃうじゃうのいけ)
同大鏡寺(だいきゃうじ)門前人家の後(のち)にあり。伝云(つたえていふ)。往昔天満宮鎮座のはじめ、一夜に大樹の松生じ、其梢(そのこづえ)に明星降臨ありて此池水にうつりかゝやきしを以って号(なづ)く。則(すなわ)ちこの明星は、菅公の神霊なるにより其松の生たる地に聖廟をいとなむとそ。往昔大将軍の社のほとりに影向の松とて有しが火災のために焼亡すといふ。

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