なにわの科学と技術・史跡めぐり


写真:銅吹所跡地碑


★住友長堀銅吹所跡地碑(大阪市中央区島之内1)★
 住友の銅精錬場の跡地。1990〜1991年に大規模な発掘調査が行われました。
 江戸時代を通じ、大阪は日本最大の精銅業の街でした。というのも、日本全国の銅山で採掘された銅鉱石は、大阪に集められて精錬することになっていたからです。銅の輸送には堀川を用いたため、道頓堀や長堀周辺には多くの精錬所(銅吹屋)が並んでいましたが、その中で最大規模を誇っていたのがこの住友の銅吹所でした。ここには、幕府の高官やオランダ商館長をはじめとした多くの人が見学に訪れており、かのシーボルトも見学したことが知られています。
 銅吹所では「南蛮吹き」という精錬技法が用いられ、約99.9%という高い純度の銅を作り出すことができました。これら大阪の銅吹所で生産された純銅は、国内の銅製品に加工されたほか、銅インゴット(棹銅)に成形されてオランダをはじめとしたヨーロッパ諸国に輸出されていました。
 現在、銅吹所の敷地の一角が公園として整備されていて、銅吹所跡地の碑ののほか、発掘調査で出土した「かまど」も展示されています。