長谷川能三のHP雑記帳  


3月16日の虹のような現象について


 2007年3月16日16時半頃から17時過ぎにかけて、大阪市立科学館周辺で、太陽の上に逆さまの虹のようなものが見られました。 おそらく大阪一円でこの現象は見られたのではないかと思います。

 右の写真で太陽は下のビルに隠れていて、広角レンズ(35mm版換算で28mm相当)で撮影していますので、実際の空ではこの逆さまの虹のようなものはかなり高いところに見えています。
 これは「環天頂アーク」といって、虹を逆さまにしたように見えるので、俗に「逆さ虹」と呼ばれることもあります。 「天頂」というのは頭の真上のことで、右下の写真(カメラを上に向けて写した写真)のように天頂を中心とした円の一部となっているため、「環天頂アーク」と名付けられています。 環天頂アークは、気をつけていれば年に数回くらいは見られる現象ですが、今回のような非常に鮮やかなものは数年に一度かもしれません。

 通常の虹は球状の雨粒に太陽の光があたって見える現象ですが、環天頂アークは上空の氷の結晶に太陽の光があたって現われます。 氷の結晶が六角板状の形をしていて、板の面が水平に揃っていて、太陽高度が32度以下の場合に限られる現象で、六角板の上面と側面でできた角がプリズムの役目をして、太陽の光を虹色に分けています。


 環天頂アーク
いつ見える?雨が降っているのに太陽が照っているとき空に薄雲がかかっているとき
太陽の高度が42度以下のとき太陽の高度が32度以下のとき
どこに見える?太陽と反対側の空太陽と同じ方向の空高いところ
円の中心は、方向も高度も太陽のちょうど反対の位置円の中心は天頂(頭の真上)
円の大きさ必ず半径約42度太陽の高度によって変わり、太陽が低くなるにつれ半径は大きくなる
色の順番上側(円の外側)が赤、下側(内側)が青上側(円の内側)が青、下側(外側)が赤
その他色の帯は案外狭く、色もあまり鮮やかではない色の帯は虹よりもかなり太く、色も鮮やか



 さらに、太陽の両側には幻日(げんじつ)という虹のかけらのようなものや、幻日と太陽を結ぶ細い線状の幻日環(げんじつかん)もみられました。 幻日は六角板状の氷の結晶の2つの側面がプリズムの役目をして、幻日環はその側面の表面で反射された光にによって見える現象です。
 環天頂アークは、17時過ぎにはだんだん淡くなり、やがて消えてしまいましたが、太陽の右側の幻日はその後も見えていました。


 さらに、太陽が低くなった17時30分頃には、太陽から上にぼんやりした光の帯が伸びる「太陽柱」も見られました。



 虹や環天頂アークなどの現象をまとめて気象光学現象といいます。 太陽の高度や氷の結晶の形や向き、水滴の大きさなどによって、空に見える現象の姿はさまざまです。
 太陽と同じ方向の空は眩しいし、空高いところに何か現われていても気づかないことが多いのですが、みなさんも時々空を見上げてみませんか。