長谷川能三のHP蜃気楼  


蜃気楼の分類


 蜃気楼は遠くに見えている景色が変形して見える現象ですが、通常は「上位蜃気楼」のことだけを指します。 ただ、広い意味で「下位蜃気楼」も蜃気楼に含めることもあります。
 他に、大気の温度差(屈折率の差)により起こる現象として、暖気が立ちのぼることにより景色が不規則に揺らぐ「陽炎(かげろう)」がありますが、蜃気楼には含めません。 また、「不知火(しらぬい)」は蜃気楼の一種かもしれませんが、よくわかっていません。

上位蜃気楼 = 本来の蜃気楼 = 狭義の「蜃気楼」
低いところに冷気層が、その上に暖気層があるときに、遠くの景色が上下に伸びたり上下反転して見える。
富山湾では「春の蜃気楼」とか「春型蜃気楼」と呼ばれる。
富山湾や琵琶湖など全国でも限られた場所で、主に春の限られた日にしか見られない。
四角い太陽も上位蜃気楼の一種と考えられる。

広義の蜃気楼
下位蜃気楼
低いところに暖気層が、その上に冷気層があるときに、遠くの景色が下に映ったように見える。
島が宙に浮かんでいるように見えるため、浮島現象とも呼ばれる。
富山湾では「冬の蜃気楼」とか「冬型蜃気楼」と呼ばれるが、四季を通じて見られる。
全国各地で見られる。
逃げ水だるま型の太陽も下位蜃気楼の一種。

「不知火」=側方の蜃気楼?
熊本県の不知火海(八代海)周辺で、八朔(旧暦八月一日)の午前0時〜3時頃に見えると言われている(八朔でなくても朔の日に見えるという話もあり)。
遠くの明かりが大きく揺らいだり左右に広がって見えるらしい。
入り組んだ干潟により、横方向に気温が不均一となり、漁り火が変形・分離して見えるという説がある。 であれば、景色が上下に伸びて見える通常の蜃気楼に対し、不知火は左右に伸びる横方向への蜃気楼とも言えるか?
有明海でも見えると言われる。
昔、各地で見られた「龍燈」と呼ばれる現象が、不知火と同様の現象であるとも言われる。