長谷川能三のHP夏休み自由研究  


紙のパワーを引き出そう


 みなさんの身のまわりのものには、丈夫(じょうぶ)になるようにくふうされているものがいろいろあります。 例えば紙コップのふちは、紙をくるっと丸めてあります。 丸めることで、紙コップが丈夫になっています。 それなら、この丸くなっている部分を全部切り落としてしまうと、紙コップはどうなるでしょう?
 他にも、プラスチックでできたハンガーで、断面が「エ」という形になっているのも、じょうぶにするためです。 ビルなどの建設にはこれと同じような形の鉄骨が使われることが多く、このような鉄骨を「H字鋼」といいます。
紙コップのふちの断面(左)
プラスチックハンガーの断面(右)
H字鋼を使ったり、
X字型に鉄筋が張ってある

 このように、同じ材料でも形をくふうすると、丈夫にすることができます。 そこで、新聞紙を使ってどれだけじょうぶなものができるか、ルールの中で形を工夫して、じょうぶな台を作ってみましょう。

【さがしてみよう】
 まずは、じょうぶになるように、どんなところでどんな工夫がしてあるか、さがして写真に撮ってみましょう。 たくさん写真を撮ったら、上の写真のプラスチックハンガーとH字鋼のように、似たような形のものどうしを集めて分類してみましょう。

【用意するもの】
 ・ 新聞紙
 ・ ハサミ
 ・ セロハンテープ
 ・ 下じき(またはベニヤ板)
 ・ 水の入ったペットボトル(500mL 3本、2L 数本)

【ルール】
ひとつの台をつくる材料は、
 ・ 新聞紙 1ページ(およそ 40cm×55cm)
 ・ セロハンテープ 長さ1m(幅1〜2cmのもの)
だけです。 これで高さ10cmの台をつくり、下じきかベニヤ板を上において、その上にどれだけの重さのおもりをのせることができるでしょうか。

【やり方】
 新聞紙1ページは、およそ 40cm×55cm の大きさなので、縦に4等分すると、幅10cmの紙の帯が4本できます。 この幅10cm紙の帯4本を、折り曲げたり、貼ったり、切ったり、丸めたりして、高さ10cmの台を作ってみましょう。 この台は、いったんつぶれると、直しても元どおりになりませんので、同じ形の台を2つ作って、ひとつは記録用に残しておきましょう。
 台が完成したら、台の上に下じきかベニヤ板をおいて、その上に水を入れた500mLのペットボトルをのせてみましょう。 台がつぶれなかったら、写真を撮ってから、500mLのペットボトルを2本、3本と増やしてみましょう。 さらに、2Lのペットボトルと組み合わせて少しずつ重くしていくと、どこまで重いおもりをのせることができるでしょうか。
※台は一度つぶれると、どんなに直しても元どおりになりませんので、おもりをのせるごとに写真を撮っておきましょう。

【ヒント】
「く」の字型にに曲げた新聞紙四角い筒にした新聞紙
 新聞紙そのままでは立てることもできませんが、「く」の字型に曲げるだけでも、立てることができて、その上に10円玉を数枚のせることができます。さらに、四角い筒にして、セロハンテープでとめると、もっとたくさんの10円玉をのせることができます。
いろいろな形の台
 まずは、なるべくいろんなパターンの台を作って、その中でどの形が強いか調べてみましょう。 その中で強かったものを数種類選んで、さらにそこから少しずつ形を変えたもの(例えば、筒になっている部分があれば、太さを変えたり、本数を変えたりしたもの)を作ってみましょう。

【ヒント2】
 今回のルールでは、ペットボトルのおもりを支える柱になる部分と、その柱が倒れないように支える部分を組み合わせると、強い台になるようです。


[参考文献]
大塚 信之 『紙のパワーを引き出そう』
   第5回青少年のための科学の祭典大阪大会ガイドブック,39 (1997)