第61回
2012年10月6日15:00〜
場所 研修室
参加者7名
第3章8節 カイラル表示とワイル粒子
ディラック方程式に登場するαやβ、γを行列で表すと4×4の行列になるが、その表現はいくつもある。これまでディラック表示で表されたものを使っていたが、今回は、カイラル表示を使う。mが0であったり、非常に小さなとき便利な表示だ。
カイラル表示でγ5は、カイラリティ演算子になっていて、射影演算子(1−γ5)/2, (1+γ5)/2を使って、カイラリティの固有状態ΨL,ΨR(γ5ΨL=-ΨL,γ5ΨR=ΨR)を作ることができる。
ΨL,=(χ0)T,ΨR=(0φ)Tの2成分のスピノルを使ってディラック方程式を書き表すと2本の式が出てくるが、それぞれの式には、χとφが(質量mを通じて)混ざっている。m=0の時は、2式は独立となり(ワイル方程式)、それぞれ独立な解χ、φ(ワイル解)を持つ。
しかし、パリティ変換でχとφが入れ換わるため、2成分のスピノルχ、φのパリティは保存しない。そのため、ワイル解は歴史的には早くから知られていたが、意味を持つ解だとは見なされなかった。