これまで、いろいろな薬品についての個々の効果や毒性についていろいろ説明させてもらいましたが、今回は化学物質の全体のイメージに関するもの、天然物と人工物についてのお話です。その中の食品添加物を中心に考えていきましょう。

どちらを選びますか?
ちょっと想像してください。いま皆さんが、スーパーなどで食べ物を買おうとしていたとしましょう。スナック菓子でも、出来合いの餃子でも、調味料でも構いません。そして、同じメーカーから同じ製品が出ていて、値段も同じ。ただ一つ表記が違うのです。一方には「天然・自然の材料から作りました」そして一方には「人工材料から作りました」と書いてあります。 あなたならどちらを選びますか?選択肢として以下のものを掲げましょう。

   身体によさそうな天然の方を選ぶ
   純粋な物質で作られていそうな人工の方を選ぶ
   気にしないからどちらでもいい


個人的な予想では、圧倒的多数で △瓦少数が、△呂曚箸鵑斌気靴箸もっているのですが…。



人工物は身体に悪い?
 なぜか、スーパーなどの食品売り場をよくうろつく私は、加工食品に書かれている文字が気になることがあります。「合成甘味料は使っていません」、「人工着色料は使っていません」、「化学調味料不使用」等々。何故、このような文字が包装にたくさんうたわれるのでしょうか。やはりメーカーも人工のものは、「体に悪い」と思っているからでしょうか?

 では、食品に加えられる食品添加物の中で人工物といえばどんな物があるか、一部をご紹介しましょう。よく出てくるのが保存料や着色料といったものです。
目的        薬品名
保存料 安息香酸、安息香酸Na、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル
着色料 食用赤色2号、食用赤色3号、食用黄色4号等
発色剤 亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等

食用色素
         食用色素

 化学物質は危険である、避ける方が安全だ。現代化学に忍び寄る化学物質を取り除こうといった言葉があちこちで目につきます。 確かに、化学物質は危険なものがあります。しかし、それはあくまでその物質の特性と量によって決まり、人工か、天然かで決まるものではありません。 食品の添加物の中には、体内で有害な物質をつくるものもあり、可能ならば取り込むのを避けた方がいいかなと思われるものも使われています。例えば、そういった危険性があるのが硝酸Naや亜硝酸Na。食肉製品などに0.07g/kg以下の使用量しか認められていませんが、魚等も一緒に食べると魚に含まれる二級アミン(RR'NH)と簡単に反応し、ニトロソアミンという発癌性の疑いのある物質ができるのです。ただし、この反応を阻害するために、発色剤と共にアスコルビン酸(ビタミンC)を添加しています。

クエン酸とレモン
       クエン酸とレモン
天然であろうと、人工物であろうとその使いようと摂取量によって、毒になったり、または薬になったりするのです。危険、危ないといった人たちは、合成化学物質のことを指していっているのですが、例えば、現在食品に添加されている合成化学物質=人工物349種類のうちはじめて人間が口にするものは、約1割しかないそうです。それ以外はつまり、人工物とは言え、何らかの形で天然に存在するものとなります。 例えば、クエン酸やリンゴ酸といったものは、果物など天然物としてありますが、実際食品に添加物として使用される時は、人の手によって作られた化学合成品がほとんどです。そしてリンゴ酸の他、表に書いた安息香酸や硝酸ナトリウムなども植物に含まれる物質です。


  天然物でも毒性のあるものはあるし、毒性が低くてもその量を取り過ぎれば毒になってしまうこともあります。自然が作る天然物も、人の手によって作られる人工物も目的とするものが一緒であれば、化学的特性は一緒なのです。天然物だから毒性はない、人工のものだから毒性が高いといったことはありません。かえって人工の生成物は、目的とする物質をつくるときに純度を上げたほうがいいので、不純物の少ないピュアなものが取り出せます。 要は、その化学物質が本当に添加することが必要なのかどうか、そして使用量は必要最低限なのか等のチェックをするということが大事なのではないのでしょうか。今回は、食品添加物を中心に、化学物質について考えてみました。

                                                                  (2005.2.3up)

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