以前からどんなところかなと気になり行ってみたかったのが、道修(どしょう)町にある「くすりの道修町資料館」です。ちょっと前になりますが、昨年の11月の午後、ちょっと時間ができたときに自転車を飛ばして見に行ってきました。今回はそのときのことを記しておきましょう。

道修町資料館
道修町は、大阪市役所から約1Km程南に下がった御堂筋の西側数百mから堺筋の東側数百mの間にはさまれた町をさしています。そして、道修町を貫く通りの両側には、メジャーどころの製薬会社の建物があります。小林製薬、武田薬品、藤沢薬品、塩野義製薬、田辺製薬、第一製薬等々。通りを通りながら、その名前を見ていちいち自転車を止めて、「おおっ」、「へぇ」などと感心して通りを抜けていきました。
 そして、堺筋から30m程西側に資料館がありました。 看板に張り子の虎の絵があったので、何かなと
  道修町薬の資料館       看板の張子の虎
見たらその下に「くすりの道修町資料館」の文字。東北地方には、牛の張り子の民芸品があり、それの絵かと思ったのですが、違いました。しかし、どこかでこれを見たことがあると思ったら、昭和61年に年賀切手の図柄として使われたからだったようです。建物の右側の通り奥には、中国の薬の神様である神農氏と、日本の薬の神様である、少彦名(すくなひこなの)命(みこと)を祀った神社あります。

  神農さんは、草を自らなめて薬草を探したといわれている中国古代の伝説上の人物です。さて、この資料館は、約300年前からの薬業関係者の資料を整理し保存しようということで平成9年10月にオープンしたそうです。ですからこの資料館は、道修町の歴史や、問屋街としての発展についての展示を中心に行っています。私は、薬の中身の成分や製法などを紹介しているのかなと持っていたので、ちょっと印象が違いました。


文書以外の資料は…
さて、展示室の資料はほとんどが、道修町の発展や薬の取り引きなどに関する古文書でした。それら古文書は、残念ながら私には見てもさっぱりわからず、結局近くにあった解説書のビラをもらって後で眺めただけでした。それ以外の展示というと、生薬の実物がおいてあります。名前は聞くけど本物は初めて見るものが多く、中には聞いたことのない「そうじゅつ」「黄ごん」などといった薬がありました。ちょっと残念だったのが、解説が何もなかったことです。科学館でもそのうち、こういった生薬などをたくさん集めて展示できたらなと思っています。

 それから、特別展ということで日本香料工業会がバラやジャスミンのフレグランス
     にんじん(左)と麻黄(まおう)     見覚えありますか?この広告
のもとをおいていました。これは、科学館2階の展示のように、においを実際にかいでもらうようにしてありました。私は、以前ジャスミンのにおいの主成分である、酢酸ベンジルを合成したことがあります。しかし、合成した純粋なものは、あまりにも強烈な香りいや、臭いだったため、それ以来ジャスミンのにおいが苦手です。ですが、ここではマイルドな匂いになっていました。

 そして、その香料の向かい側には、現在使われている薬の種類を展示していました。前回ここで紹介した狭心症用のシール状の薬もあり、「ここにニトログリセリンがついているのかな」とながめてきました。また、ちょっと前の薬の宣伝ポスター類が企画展としてたくさん貼られていました。資料館は午前10時〜午後4時までの開館で、日曜・祝日が休みです。 入場は無料です。お帰りは少彦名神社のお参りを忘れずに…。

(2002年12月記)



薬と毒トップ