皆さんは身体が疲れたときどのようにして回復させていますか。私はとにかく寝ることに尽きるし、それが一番だと思うのですが、寝てもいられない人も多いらしく、栄養ドリンクなるものでさらに身体に鞭打つ人達がいます。栄養ドリンクは以前、薬局でしか買えなかったのですが、規制緩和でコンビニエンスストアでも気軽に買えるようになりなりましたね。今回は、この栄養ドリンクのある成分について注目してみます。
タウリン
タウリン1000mg 、栄養ドリンクと言うと、筋肉モリモリの男2人が荒れ地を駆け回り、「ファイトー!一発!」と叫んでいる例のリ○ビ○ン−Dなどが頭に浮かんできて、「タウリン1000mg配合!」というところに行きついてしまいます。最近テレビを見ていないけれども、このCMにすっかり毒されています。で、私の隣に座っている大倉学芸員も時々栄養ドリンクを飲んでいます。某野球チーム名の会社から出ているタフ○ン。この成分を見てみました。高麗人参エキス、黄精エキス、なつめエキス、ナイアシン、イノシトール、リジン、カフェイン、安息香酸ナトリウム…。
名前を見ただけで、これは効きそうというのもありますが、頭にこびりついているタウリンが入ってないなあと思いました。
1000mg!! 市販の栄養ドリンクを見てみると、このタウリンが入っているものと入っていないものがあるのです。で、入っているものはたいてい1000mgと書いてある(多いものだと2000mg入りというものもあります)。1gと書くより確かに1000mgという表記の方が口にしたときインパクトがあるかもしれません。CMであれだけ出てくるのはとても良く効くからなのでしょうか。タウリンについてみて見ましょう。
タウリンとは、2−アミノエタンスルホン酸ともいわれるアミノ酸誘導体で化学式ではC2H7NO3S、分子量121.15の細い針状の白色結晶です。 自然界では生物の体内に存在し、ネコ以外の動物では、メチオニン→シスチン→ハイポタウリン→タウリンという代謝経路があり、体内でつくることができます。特に牛の胆汁にタウリンは多く存在し実際タウリンが発見されたのも、子牛の胆汁中からで、それは1827年のことでした。ちなみに人間は、体重の約0.3%ほどタウリンを持っています。また、次に示すとおり、重油から作られることもできます。
O
/ |
CH2=CH2 → H2C− CH2 → C2H7NO → C2H7NO3S
重油 → エチレン → 酸化エチレン → エタノールアミン → タウリン
しかし、タウリンの栄養学的な重要性はしばらくわからなかったそうで、現在でも、その生化学的性質や薬理作用などは分からない部分が多く研究が続けられています。
そのような中でも現在、解毒作用、浸透圧制御、カルシウム濃度の調整、コレステロールの溶解作用などが知られており、心不全や血管の治療、肝臓病の治療に効果ありということで使用されてもいます。
また、胆汁酸の分泌を促進させる働きもあります。胆汁酸にはコレステロールを排泄する働きもあるため、体内の余計なコレステロールを減らしたり、コレステロールによる胆石の予防にもなります。タウリン投与で、血清中のコレステロール値が低くなることが分かっています。魚介類にタウリンが多く含まれており(表)、その魚介類の産地では、売り上げを上げるためにもタウリンの効能を宣伝しています。
サザエ 1536 | ブリ血合 673 |
コウイカ 1212 | ズワイガニ 450 |
カキ 1163 | キダイ 339 |
マグロ血合 954 | タイショウエビ 293 |
マダコ 871 | マイワシ 206 |