アルミニウム(Al)
 
 車に乗り始めたころ、車乗りのおにーちゃんたちが、どこそこのアルミホイールがいい、バネ下を軽くするには、アルミホイールをつけなきゃいかんなど話をしているのを聞きました。そのとき私が想像したアルミは、アルミ箔や、1円玉などです。いずれも薄くて軽いものですから、軽くてもそんなやわなものを車のホイールにつけてもいいの?と疑問に思いました。さて、今回は、普段の生活でもあちこちでお目にかかるアルミニウム(Al)についてのお話です。

 Alは、鉄と同様に現代の産業社会を支えている非常に重要な物質です。車、飛行機をはじめとする交通機関、アルミホイルなどの食品包装、建築材料等々でAlの特性をフルに生かす使い方がされています。それでは、そのAlの特性とはどんなものか。
 基本特性は、融点660.4℃、沸点2467℃、密度2.69g/cm3で、銀白色の固体です。熱や電気をよく通す性質があり、Alの表面は酸化膜で覆われるため、内部までボロボロになるということはありません。そして、密度が小さく軽量である上、加工しやすく強度があります。また銅や、マグネシウムと合金を作るとさらに強度が増します。

     
巨大ミョウバン結晶 AlK( SO4)・12H

 そして、1tのAlを作り出すのに約15000kW/hの電気を使うといわれています。これがAlは電気の缶詰といわれるゆえんです。 さて、古代からミョウバンとしてAlを含む薬品は使われていましたが、単体は、1825年に物理学者のエールステッドが取り出しました。ちなみに1807年にデービーも電気分解で単体を取り出そうと挑戦したのですが、うまくいきませんでした。ただ、実験結果から、きっと新しい金属があるに違いないと確信し、その金属をalumium(アルミウム)と名づけたのです。
2002年の夏、科学館で「大きな結晶をつくろう」「夏休み自由研究作品展示会」という行事を行いました。そこで使った薬がAlを含むミョウバンです。とても結晶を作りやすく、大きな結晶を作った人もいます。温度管理などをすれば、誰でも大きくきれいな結晶を作れます。皆さんも作ってみませんか。

(うちゅう2002年12月号より、一部改編)


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