コバルト(Co)
 
 「では、コバルトの状態を調べてもらおうかな。」私が、大学の4年目、研究室に入り、何をやるかを先生と打ち合わせをして決まりました。「電子顕微鏡を使って、加速電子をコバルト化合物にぶつけて出てくる、X線のKαとKβの強度比を調べてほしい…云々。」他にもいろいろと言われたのですが、勉強不足のため、先生の言っている意味がさっぱりわかりませんでした。コバルト(Co)ってどんな物質だっけ?そういえば、水酸化コバルトは、この前実験で使ったな…。なんとも頼りない状態でした。   

 さて、今回は私が周期表の中で一番思い出のあるCoについてのお話です。Coそのものは知らなくても、コバルトブルーなど色を示す言葉として使われていますね。ブルーというくらいですから、Coそのものは青いのかといたといわれています。Koboldのせいで鉱石からそこにあるはずの金属が取れないと考えられていたそうです。 Coは

   
青いシリカゲル。青色の元が塩化コバルト

、黄色、ばら色、赤黄、青紫、緑色などくっつく(配位する)水やアンモニアの状態によって様々な色を作ります。

 では、なぜ、Coというとブルーなんでしょうか。それは、Coとアルミニウムの酸化物である

アルミン酸コバルトが古くから使われているとてもきれいな青色顔料のためです。ここから、Coというと青いイメージができたのです。 それから身近なところでCoの色の変化を楽しめるのが青色のシリカゲルです。あの青色は塩化コバルトが水を含まないときの色です。ここに水がつくとピンク色に変化して、シリカゲルが周りの湿気を吸いましたよ、と見ただけでわかるようにしているのです。 この水を吸ったシリカゲルは、レンジやフライパンで水分が蒸発させると、コバルトにもついていた水がなくなり、元の青色に戻るのです。

(うちゅう2002年11月号より、一部改編)


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