ドイツが誇る超豪華飛行船ヒンデンブルク号が、1937年5月6日午後6時過ぎ、アメリカのレークハーストに姿を現した。ヒンデンブルク号は、1936年に完成した世界最大の飛行船で全長248m、直径41.8m、積載量84トン、乗員50〜70名、航続距離1万4000km、最大速度毎時135kmを誇った。飛行船が着陸しようとした時、大爆発をおこし、乗員乗客の35名が死亡…。

当時の記録映像をテレビでご覧になった方も多いと思います。この爆発は、浮揚ガスとして水素を使用していたためにおきました。浮揚ガスとしてはヘリウムが非常に有効なのですが、ヘリウムガスを生産できるのは、アメリカだけで、1925年以降輸出を禁止したため、ドイツは水素ガスを使わざるを得ませんでした。 さて、元素の中で最も軽い水素は、イギリスの化学者・物理学者キャベンディッシュが1766年に発見したとされています。彼は、鉄や亜鉛・スズといった金属と希硫酸を反応させると空気よりはるかに軽いガスが生じることを見つけました。

水素は、重さが体積1リットルあたり、約0.09gしかありません。 空気と比べると約14分の1の重さですが、宇宙に存在する元素の中で最も多く存在し、宇宙にある元素すべての重さの7割をしめています。地球上では、酸素、 ケイ素についで、3番目に多い元素で、主に水という化合物として存在しています。 水素原子は、電子を一つしか持っておらず、この電子が外れると水素イオンとなります。そして、水素イオンが液体にどのくらい含まれているかを示すのが、皆さんご存知のpHです。pHは、0〜14までの整数で示され、水素イオンが多いほどpHの数値が小さく、強い酸になります。

身近なところでは、レモンは、約pH=2.8、ビールは4.2、漂白剤が12程度となり、レモンはかなり強い酸になります。このように、酸っぱさのもとには、最も軽い元素である水素がからんでいるのでした。



追記:その後ヒンデンブルク号の炎上は、気球の素材や塗料によるものという調査もあり、そちらの方がもっともらしい。

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