一時パーティグッズで、とあるガスを吸うと声がとても高くなって変な声でしゃべる事ができるというものが流行りました。ダックボイスなどといって販売されていましたが、皆さんご存知でしょうか。私は、サイエンスショーでそのガスを使っていた時にお客さんの前で声を変える余興をした事があります。 さて、そのガスとは、全元素中2番目に軽いヘリウム(He)です。

 この軽さを利用して、飛行船を飛ばしたり、お祭りでぷかぷか浮いている風船ができたりするわけです。このヘリウムの名前の由来は、他の元素に比べて有名なものの一つです。1868年8月18日、フランスの天文学者のジャンサンがインドで起った皆既日食で、太陽の彩層のスペクトルを観測しました。その時にそれまで知られている元素では見られないスペクトルを見つけたのです。そして、イギリスのロッキャー卿がこの太陽に存在する元素をギリシア語の太陽を意味するheliosから、へリウムと名付けました。その後、約30年近くHeは太陽だけに存在し、地球上には存在しない元素と考えられていましたが、1895年ラムゼーがウラン鉱の一種であるクレープ鉱からHeを分離しました。

  さて、Heですが先程も述べた通り全元素中水素に次いで2番目に軽く、無味無臭の気体で質量4g、密度は、0.18mg/cm3しかありません。融点は、全元素中最も低く、−272.2℃。限りなく絶対零度に近い値ですね。そして不活性ガスの一種であり他の元素とは化合物を作らず単体でのみ存在します。 Heガスは、北米の一部地域から産出する天然ガスに1〜7%含まれており、ここからメタンなどのガスを取り除いて生産しています。ちなみにアメリカでは、1915年には1立方フィートあたり2500ドルしていたHeが、天然ガスから次々作られるようになると価格が1926年には3セントまでになったそうです。現在、科学館では、4階の展示品「宇宙線をみる」でへリムガスを使っていますが、その値段を知るとウムムとうなってしまいます。まあ、いろいろとコストはかかるから、とても高くなるのでしょうけど。



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