…ラッタ、ラッタ、ラッタ、ラッタ、チョーコランタン…これは、グーチョコランタン…NHKの幼児番組です。失礼しました。大人の方でしたら、ランタンといえば、キャンプやオシャレな街角の灯りを思い出したりする人もいるかもしれませんね。しかし、今回の話はランタン違いの、世間では名の通っていない、希土類元素のランタン(La)です。

 Laは周期表では、一寸変わったところに位置します。大きな表自体にはLaがなく、通常の枠内にランタノイドと示され、※などで表の下の方を見なさいという表示になっています。そう、通常周期表の1マス(?)には、1つの元素しか入りませんが、ランタノイドと示された部分には15個の元素が押し込まれています。まるでタコ部屋ですね。なぜこんなこんなことになったのかは、この誌面では詳しく書けないのですが、このランタノイドの電子配置によって非常に似た性質を持っているためということだけ記しておきましょう。

 さて、それではLaそのものを見ていきましょう。Laは、原子量138.9、密度6.17g/cm3、融点920℃、沸点3420℃の白色金属です。Laはスウェーデン出身の外科医でもあり化学者でもあったC.G.ムーサンデルが1839年に発見しました。彼は、師匠であるベルセリウスが発見したセリアという物質を研究していました。そして、そこから単体を分離し、ランタンと名付けました。セリアという石はセリア、ランタニア、ジジミアという3種類の金属酸化物がまざったものだったのですが、この3種類の物質の性質が似通っていたため、ムーサンデルが1年以上の苦労の末、ランタニアを選り分け、そこにLaという物質があることを発見したのです。

 このLaとはギリシア語で「かくれる」を意味する、lanthaneinにちなんでいます。ムーサンデル自身、ランタンがセリアに隠れていたということを強く実感していたに違いありません。Laは化合物の形でピンからキリまでの用途があり、光学機器用のレンズの製作や、水素吸蔵合金に使われるとか、実は身近なところで使い捨てライターの火打ち石に使われたりします。ちなみにライターの火打ち石はLaを25%、Feを30%ほど混ぜて作ったものだそうです。

(うちゅう2001年8月号より)


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