マグネシウム(Mg)
 
 最近は、年賀状をパソコンとプリンターで作る人が増えてきましたが、ちょっと前は、プリントごっこなるもので作っていた人も多いのではないでしょうか。この機械で原版を作るときに使っていた電球、中身が普通の電球と少し違うことに気づいていたでしょうか?中に金属の細い糸状のものが入っていましたが、これはマグネシウム(Mg)なのです。
 Mgは粉末や薄い板にして着火すると、とてもよく燃えます。そして、強烈なせん光をともない、直視することができません。昔、カメラのストロボの変わりにマグネシウムを発光させていたそうですが、たいそうまぶしかったでしょうね。プリントごっこのランプもカバーをつけずに発光させたことがありますが、まぶしかったこと!

  Mgの燃焼による強烈な発光

 さて、Mg単体は1808年にH.デーヴィーが電気分解することで得られました。もともと、ギリシャのマグネシア地方の石として得られていたことから、マグネシウムと命名したようです。そしてMgの特性ですが、銀白色の金属で、空気にさらされると少し色がにごってきます。融点が648.8℃、沸点1090℃、密度が1.73g/cm3と、とても軽い金属です。軽金属の代表であるAlと比べても 2/3の重さしかなく、工業的に利用される金属としては一番軽いものになっています。最近では極薄のノートパソコンなどにも使われています。 Mgの自然界における非常に重要な点は、植物のクロロフィルに含まれていることです。クロロフィルは葉緑素とも呼ばれ、植物が光合成を行いCO2を炭水化物にし、酸素が空気中に放出するところです。つまり、生物界のキー元素になっているのがMgといえるでしょう。人間にもMgは必要元素です。成人で約25gのMgが体内にありその約70%は骨に存在します。そしてマグネシウム存在量が、多くても少なくても体に問題をおこします。ちなみにMgが過剰になると呼吸麻痺や低血圧になり、欠乏すると骨を作る骨芽細胞や骨を溶かす破骨細胞の働きが弱くなります。女性が多くわずらう骨粗しょう症に、このMgが深く関わっているという報告があります。

(うちゅう2003年1月号より、一部改編)


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